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2012年のニューフェイス紹介③<小泉洋人(こいずみひろひと)>

37歳の今年、念願の初シード入りを果たした。年齢的に遅咲きなのは、回り道をしたから。ゴルフを始めたのは18歳のときだった。しかしプロを目指して頑張ったのも、23歳までだった。
自分には才能がないと、一度は諦めて起業家の道へ。

ジュニアにゴルフ留学を斡旋する会社を立ちあげ、年収は600万円。事業は順調だった。21歳のときに結婚した由紀さんと、円満な家庭を築いて平穏な生活も、知人のプロにレッスンを受けたことをきっかけに、人生が再び大きく動き始めた。

今まで曲がりまくっていたというショットが、真っ直ぐにしかいかなくなった。
すっかりその気になって、ツアーの出場優先順位を決めるクォリファイングトーナメント(QT)にファーストステージから挑戦したのが2005年。
「ろくに練習もしていなかったのに、いきなりファイナルまで行ってしまった」と、勢いでプロ宣言。
同時に会社もたたんでしまった。退路を断って、週2回は月3万円のレッスン業で食いつなぎ、ふたたび夢を追いかけ、ようやく出番を得たのが2010年。

それからさらに2年をかけて、いよいよ表舞台に出てきた。
昨季は2度のトップ10入りに加えて、安定感も増して賞金ランクは53位につけた。
遠回りの末にもぎ取った悲願の初シード入りは、何より家族の理解が深かったのが大きかった。

先日は、地元関西のプロ仲間とスナッグゴルフの実技講習会を開くなど、このオフは調整に、社会貢献活動にと、ますます忙しい日々を過ごしている小泉。
「今年の目標は、まずトップ10入りの回数を去年の倍に増やすこと」。
当然、初優勝もそのひとつだが「優勝と(賞金ランク)25位内。どちらが難しいですかね」と思案するのは、ツアー最終戦への出場を最大の目標にしているから。

ゴルフ日本シリーズJTカップの出場権は、勝者とトップ25位(昨年実績)までの選手だけに与えられる特権だ。「ぜひ、実現させたい」。
勝てば、おのずと夢がかなうのは言うまでもない。今度こそ、遠回りはなし。最短でばっちり決めたい。

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