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三井住友VISA太平洋マスターズ 2010

谷口拓也が単独3位に

最終18番は、果敢なウォーターショットも実らずボギーフィニッシュ。「欲を出して」今週は、ドライバーのシャフトを1/4インチ、長くした。
44.75インチは確かに距離は伸びるがその分、安定感を欠いて、強い風が吹いたこの日2日目はなおさらだ。

フェアウェイキープは前日の4ホールよりさらに減って、「今日は2ホールだけ」。それでも、好調のアイアンとパットでどうにか大崩れしないで済んだ。

ツアー2勝の男も昨シーズンは、苦しんだ。原因は、数年前から取り組んできたウェイトトレーニングにあった。もちろん、それ自体は悪いことはないのだが、谷口には合わなかったのと、こうと決めたら何ごとも突き詰めるたち。少し度が過ぎたのかもしれない。

「体のねじれが出来なくなって、肩が回らない。テイクバックで腕が重い。飛ばないし、曲がるし、クラブヘッドがまったく仕事をしない」と、ショットだけでなく、微妙なタッチが要求されるアプローチやパットにもその影響が出たという。

「力を抜いていかないといけない場面でも、無意識に力が入ってしまう。せっかくつけた筋力が、ゴルフにつながらなかった」。
複数年シードこそ保持していたが、昨年は賞金ランクは158位と惨憺たる結果に終わった。

反省から今年は、柔軟性を高めるトレーニングメニューに切り替え、ようやく復活の兆しが見えてきた。
5月には、同じ徳島県という縁をつたってジャンボ尾崎邸を訪ね、「ゴルフの楽しさを、思い出した」という。

試合ではそのジャンボと何度となく練習ラウンドを共にするうち、「日頃の研究を、試合でどう生かされているか」。間近にしたことで、ますます思いは高まった。

「ジャンボさんは、アゲンストの風の中でも番手を落とさずに打っていく。それだけ、球を捕まえて打っているということ。ジャンボさんを見ていて、自分も、いま以上に上手くなりたいと、本気で思った」と、日本が誇るフォールオブフェーマーから得たものは、計り知れない。

8月の関西オープンを皮切りに、上位に顔を見せることも一段と増えて、獲得賞金は現在1300万円超。複数年シードが切れる今年は賞金ランキングによるシード権も、ほぼ安泰というところまでこぎ着けて、あとは上を見てやるだけだ。

予選ラウンドを終えて、首位と1打差は「チャンスある」。しかしすぐに気を引き締めた。「でもティショットがフェアウェイに行かないと厳しい。シャフトの長さも含めてこれから練習場で調整です」。全身からやる気がみなぎった。

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