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池田勇太が今季“初V”(ザ・レジェンド・チャリティプロアマ)

“ホスト役”の青木に連覇をヨシヨシと褒められて・・・
池田勇太が“W連覇”の“完全V”で、今季の“初優勝”をあげた。最終日は、大御所たちがひめく大混戦を振り切った。

辛くも勝負を決めた18番。額の汗をぬぐいつつ、苦笑いでグリーンサイドを指さした。「見て下さい。あのリーダーボードを!!」。

1位 池田勇太
2位 尾崎直道
2位 渡辺司
4位 中嶋常幸
4位 室田淳
6位 近藤共弘

(スコア速報はこちら)

大ギャラリーのみなさんと一緒に、上から順に視線を下ろして「レギュラー、シニア、シニア、シニア、シニア、レギュラーですよ!!」。
50代の大ベテランが、ずらりと名を連ねたばかりか、1打差の2位タイには尾崎と、さらに2打差の4位タイには中嶋だ。「永久シードが2人もいるし!」。

この現状に、さすがの池田も考えた。「レギュラーツアーとして負けちゃいけないのか?」。それとも大先輩に、花を持たせて「シニアのために、負けなくちゃいけないのか?」。
いずれを選択しても、「この重圧はハンパじゃない」。この「ザ・レジェンド・チャリティプロアマトーナメント」は、2日間競技のイベントとはいえ、普段のレギュラーツアーよりも、「緊張感のある優勝争い」。

腹は決まった。この日の“最終日最終組”で、著名人の部門でともに回ったのは、やはり連覇を狙う中井貴一さん。前日初日もまた同じ組で回って、仲良く同じスコア(7アンダー)で、揃って単独首位に立った。

「今日、目指すものはひとつしかないよね」と、がっちりとタッグを組んだ。2人で和気藹々と励まし合いつつ、前半はなかなかチャンスに恵まれない中でも「焦らず、楽しくリラックスしてやろう」といいながら、その中でも良い緊張感を保って、1打差をつけて、最終ホールを迎えた。
久しぶりに味わうV争いのプレッシャー。そして、興奮。自分でも分かった。「目の色が、サっと変わった」。最後の18番は、微妙な距離のパーパット。笑顔が消えた。ラインを読む目つきは厳しくまさに、勝負師のそれだった。

昨年の10月のキヤノンオープン以来となる“ウィニングパット”を沈めて、ますます思いは募る。「レギュラーツアーでも、早く勝ちたい」。
今季は、開幕からまだ国内は3戦が終わったばかりだが、「全然、成績が良くなくて・・・」。どれか1日は上位争いにも絡むのだが、最終日に失速するのが続いて、ふとよぎった懸念。「やっぱり会長だから、駄目なのか」。ツアーにまことしやかに流れるジンクスだ。
選手会長をつとめた年は、本業の成績が落ちる・・・。

史上最年少の会長職に、最初は威勢もよく手を上げたが、「そんなのやってるから駄目なんだよ」と周囲に言われはじめても、言い返せない自分が歯がゆかった。
今週も、開催前日の前夜祭や、初日の夜の懇親会では司会もつとめて、「けっこう大変でしたけど・・・」。それでも発起人で、実行委員の青木功や、奥さんのチエさんの苦労を思えば、そんなのは、まだ良いほうだ。「少しでも2人のお手伝いが出来れば」と、奔走した。そんな池田をそばで、ちゃんと見ていてくれた人がいた。

プロとアマチュア、部門は違えど初日から、仲良く首位で並んでともに“完全V”の“W連覇”を達成した中井さん。「この2日間で、池田選手の人間性に感服した」と、言ってくださった。

「池田さんは、選手会長にふさわしい人。彼がいれば、プロゴルフ界の未来は明るい」と、そこまで言われて投げ出したら若大将の名がすたる。今週に引き続き、次週は地元・千葉県の総武カントリークラブで行われる日本プロ。
所属契約を結ぶ「日清食品」が特別協賛に名を連ねる大切なホスト試合は、今季の国内メジャーの初戦であり、「ひとつ、今年の自分の山場を迎える。自ずと気合いが入る」。二足のわらじで走り続ける。「この優勝を、起爆剤にしたい」。これを機に、呼び覚まされた勝負魂を忘れない。迷わず“2週連続優勝”を狙っていく。

  • 最後はきわどい距離のパーパットを沈めて逃げ切った
  • 中井さん(右)とのW連覇に感激!
  • 発起人で実行委員のジャズ・トランペッター日野さんから受け取った2年連続の優勝杯!
  • 記念撮影の前に、中井さん(右)と、押し合いへし合い・・・。「我こそが青木さんの隣で写る」と牽制しあうチャンピオン2人

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