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ダンロップフェニックストーナメント 2009

エドアルド・モリナリが日本ツアー初優勝

イタリア出身の28歳が、ここ宮崎から世界への扉を開いた。日本ツアーは初参戦にして、この初Vで手にした優勝賞金4000万円は今年3勝をあげて、賞金ランク1位に輝いた欧州は二部組織のチャレンジツアーで獲得した賞金約3600万円よりもまだ多い。

しかも倒した相手は、昨年の欧州ツアーの賞金王だ。
1打差首位からスタートした最終日は、スウェーデンのロベルト・カールソンとの一騎打ち。
ボギーなしの65をマークした格上の40歳に、やはりボギーなしの5バーディで応戦した。
両者一歩も引かない展開は、揃って2位以下を大きく引き離してプレーオフへ突入。
その2ホール目にピンそばのバーディトライは「絶対に外さない!」。
強い気持ちでねじ込んだ。

各ホールをセパレートする丈高い松林に絡みつく洋芝と、日向灘から吹く重い潮風。その先に待ち受けるグリーンは速く、しかも豊かな起伏がある。
パワーと、点でターゲットを捉える高度な技と。何より総合力を試される難コースは世界水準のセッティングと讃えられ、真の強者だけが頂点を知る。

その噂は来日前から選手仲間に聞いていた。
いざ会場入りして改めて、歴代チャンピオンの名前を見て武者震いしたものだ。

過去35回の歴史の中で、ウッズやハリントンら、モリナリも憧れの選手がズラリ。
「そこに僕も肩を並べられたなんて。ほんとうに感激です」。
来季から、いよいよ欧州ツアーへの本格参戦を控えて、何よりの自信となった。
これで、前週87位の世界ランクも、一気に急上昇が見込まれる。
夢のメジャー舞台にも一気に近づく。
「それが嬉しい」と改めて、この1勝の価値を噛みしめた。

ひとつ下の弟・フランチェスコと仲良くゴルフを始めたのは4歳のころ。
しかし、一足先にプロ転向した弟は、すでに欧州ツアーのシードの常連。何度もメジャー舞台を踏んでいる。

トリノ大時代の2005年に全米アマを制覇した兄もまた、翌年に鳴り物入りでプロ入りしたがなかなか結果が出なかった。
それでも「弟が良いプレーをしたら素直に嬉しい」と、その活躍を励みにこそすれ羨むこともせず、自らもコツコツと努力を重ね、いまようやくその背中をつかまえた。
「弟も喜んでくれると思う」。
次週は中国深センで開かれるワールドカップに揃って見参。
今こそイタリアの“モリナリ兄弟”の存在を、広く世界に知らしめるときが来た!
  • 昨年覇者のマークセンから着せかけられたチャンピオンジャケットを羽織り…
  • 三野哲治・大会会長からトロフィーを贈られて感無量だ
  • キャディのアントニオ・ガルパッチョさんと喜びを分かち合った

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