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三井住友VISA太平洋マスターズ 2009

野仲茂が「スポンサーの恩に報いたくて」

プロ18年目の野仲は今回も、土壇場で手に入れたこのチャンスを最大限に生かすつもりだ。そのために、この日初日はうってつけの好発進。

ボギーなしの5バーディは、特にショットが冴え渡った。
6番パー5で、グリーン手前からアプローチで1メートルに寄せて最初のチャンスを奪うと、7番、12番はいずれも6番アイアンで、これまた1メートル以内にピタリとつけた。

13番は、カラーから3メートルをパターでねじ込み、そして18番パー5もまた3メートルのバーディパットできっちりと締めた。
昨年のチャレンジトーナメントの賞金ランク3位の資格で参戦する今季、いよいよシーズン終盤を迎えた今大会は最初、出られるか微妙だった。

少ないチャンスに望みをかけて、とりあえず現場待機のウェイティング制度で出番を待ったがその順番も月曜日の時点で4番目。
半分、諦めかけていた野仲に朗報が入ったのは前週。

主催者推薦で出場が決まっていた選手が一人、欠場することになった。
「そのかわりに、僕が推薦枠で出させていただけることになりまして・・・。せっかくのご厚意なので、最低でも予選通過はしないといけない」。
その気合いが、初日の好スコアを呼び込んだ。

初シード入りを果たしたのは2001年。やはり少ないチャンスを生かしたのが今大会だった。ファイナルQTランクの資格でツアーに出場していたその年は、始めから出場を諦めて火曜日にはチャレンジの会場で今まさに練習ラウンドに出ようとしていた。

そのとき、今大会に出られるとの連絡。アメリカで発生した同時多発テロの影響で、海外からの招待選手の来日が間に合わなかった。
すぐに車を飛ばして御殿場入り。そして最終日に2位タイにつけ、シード権を手に入れたのだった。

それから6年守ったシード権を手放したのは、2007年。
今年は2度のトップ10入りを果たし、2年がかりで奪還に成功したいま、「もっと上を目指したい」との欲はもちろんある。

周囲の励ましもある。
今年6月のUBS日本ゴルフツアー選手権 宍戸ヒルズでツアー初優勝をあげた五十嵐雄二や、10月のマイナビABCチャンピオンシップで5年ぶりのツアー通算8勝目をあげた鈴木亨は練習仲間でもある。

その2人が「次は、お前の番だと。まだ、1勝もしていない僕が、こんな大きな大会で優勝を狙うなんて無謀なんですけど。何か良い運がもらえれば」。
今回こそこのツキを、生かさない手はない。

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