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中日クラウンズ 2008

藤田寛之「最後に倒します」

2位タイ浮上に感謝を寄せた。今週、千葉県の京葉カントリー倶楽部で行われている女子ツアー「クリスタルガイザーレディス」でテレビ解説をつとめる芹澤信雄が、その前にわざわざ和合に立ち寄ってくれたのは練習日の火曜日。

その芹澤の一声で、スイング改造に踏み切ったのはもう開幕も間近の3月中旬。
「持ち球のフェードから、ストレートに近い球筋を目指す」。
しかし、これまでとは違うスイングイメージに戸惑って、たちまち迷路にはまりこんだ。
そしてそのままシーズン突入。

暫定首位につけたにもかかわらず、「10年守ってきたシード権もどうなるんだろう、くらい悩んでます」と打ち明けたのは先週のつるやオープン初日。
不甲斐ない兄弟子の様子に、宮本勝昌もカツを入れたほどだった。

あれから10日がたって、やっと前向きな言葉が出てきた。
「昨日、今日の感じだと明日が楽しみ」と、表情も先週よりは断然明るく、笑顔もこぼれるようになってきたのはそんな弟子を心配して、今週わざわざレッスンに駆けつけてくれた師匠のおかげだ。

芹澤は昨年末に故障していた肩の手術に踏み切って、いまはリハビリ中。
「だから、いまは比較的時間があるとはいえ、そこまでしてくれる人は他にいない。師匠には、心から感謝です」。
心身ともに復活して、今週こそ正々堂々と優勝争いに挑む。

ほかの多くの選手がそうであるように、この大会への藤田の思い入れは相当なものだ。
ここ和合は「ボギーとバーディが紙一重なんです」と表現した。
「思ったところに打ったと思っても、ひどいトラブルに陥ったり…。独特なクセがある。どこに打とうかと考えただけで気が重くなる」。

しかし、その分やり甲斐もある。
「シビアなものを要求してくる和合が大好きですね。そして、そんなコースで思うように出来なくて、苦しんでいる自分が好き」と打ちあけた。

首位とは2打差だが、「ここでは、トップとの差は関係ない。むしろ、ここではトップにいないほうがいい。下に控えている選手の方がシメシメと思っているはず」。
そして、それは藤田自身ももちろんそうだ。

難コースを前に「ごまかしはきかない。明日は、優勝を意識してその中でやりきる」と、覚悟を決めた。
最終日は、クラウンズカラーの青い服で勝負するつもりだ。表彰式で着せかけられる、チャンピオンズジャケットに合うように。
「プロゴルファーなら、一度はあのブルージャケットを着てみたいから。これまで、やられっぱなしの和合をやっつけたい。がっちり立ち向かって、最後に倒します」。珍しく強気に言った。

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