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カシオワールドオープン 2008

小田孔明「優作には負けたくない」

ボギー、バーディ、ボギー、バーディ…。特に後半から忙しいゴルフ。「ティショットがフェアウェイに行ったところはバーディ、曲がったところはボギー、みたいな。マジ、ドキドキですよ。精神的にも、今日はほんとうに疲れました」と、大きな背中で息をつく。

出入りの激しいゴルフに疲弊しながらも、これで3日間首位キープだ。
最終日最終組で回る宮里優作は、現在賞金ランク34位、小田は31位。
今大会が始まる前に、たわむれに約束した。

「今週、頑張って2人でシリーズに行こう」。

ツアー優勝者と賞金ランク上位25位内までの選手だけが出られる次週のツアー最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」に、揃って逆転出場の望みを残した。
さらに、小田が首位に立った2日目は「一緒に最終組で回ろうよ」と、話した。

この日は、小田のひとつ前の組で回っていた宮里も、小田の言葉を覚えていたのだろう。
同組の宮瀬よりも「先にスコアカードを出した」という。
というのも、決勝ラウンドのペアリングは成績が良い選手ほど後ろの組になるしくみ。
だが、同じスコアで並んでいた場合は先にスコアカードを出した者が後ろになるからだ。

いよいよ約束が現実のものとなり、「冗談で言ってたことが本当になった」と、小田は喜んでばかりもいられない。

地元・九州地区で、ジュニア時代からともにしのぎを削り合った仲だが、「優作は中学生のころから化け物だった」と、小田は振り返る。
「僕のほうが2つ上だけど、一度も勝ったことがない」とも。

いまは共にツアー初優勝がかかるが「優作には負けたくない」と、気合いが入る。

もちろん、同組の宮瀬博文も手強い。
同じクラブ契約先の先輩は、ツアー通算7勝の実力者だ。
「優作よりもむしろ怖い存在」というリーダーにとって、4打差は決して安心できるものではない。

この日3日目の朝からすでに「ビビってた」という小田。
大きな体に似合わず、「これが、明日さらにパワーアップするのかあ…」とつぶやいて、ブルっと震えた。
「初優勝の人間には、2位と何打差あっても怖いんです。今日は眠れないかも…」。
長い夜になりそうだ。

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