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ANAオープン 2007

北海道オープン優勝の資格で参戦額賀辰徳が9位タイ

リーダーの顔を見るなり、つい本音がこぼれ出た。「昔は、俺のほうがうんと強かったのにぃ!」。この日初日に63をマークした松村と同期。
かたや日大で、額賀は中央学院大で、互いにしのぎを削ったが、大学時代は常に額賀の圧勝だった。

松村のアマタイトルは、4年時の日本学生ゴルフ王座決定戦のひとつだけだが額賀は関東アマ連覇をはじめ、日本学生、朝日杯、アジア大会メダリスト・・・と枚挙にいとまがない。

なかでも自慢は、2004年の日本オープンのローアマチュア賞。
数々の輝かしい成績を収めて昨年、プロ転向を果たしたが、出場8試合でいまだ予選通過は一度もなし。

それに引き換えデビューから3戦とも好成績をおさめ、しかもこの日は単独首位につけた松村に「プロになった途端にものすごく上手くなっちゃって・・・」と、思わず羨望のまなざしだ。

松村と5打差の3アンダー9位タイにつけたこの日初日は「良いショットもあれば悪いショットもあって、どうにかしのいだ感じ。もっと調整してショットの精度をあげないと」と、反省点をあげる額賀だが、魅力はなんといっても183センチの長身から繰り出す圧倒的なその飛距離。

今年主戦場のチャレンジトーナメントは380ヤードのパー4で、ワンオンに成功したこともある。
サッカーから転向したばかりの中学時代は、身長も158センチとあまり飛ぶほうではなかった。
しかし埼玉栄高に進み、体の成長に比例して飛距離もみるみるアップ。

23歳を迎えたいまも「まだ伸び続けているような気がする」というから羨ましい限りだが、「それって、なんか化け物みたいだから(笑)。あまり飛ぶと思われたくない」と、本人は恥ずかしそうに口をつぐむ。

その分、ショットの安定性を欠くことも否めない。ツアーに出るようになって、痛感するようになったのもそのことだった。「僕は手先で飛ばすタイプだったから、なおさらだった」。
専属コーチについてボディーターンのスイングに直しはじめてようやく安定したショットが打てるようになってきた。

徐々に自信もついてきた。8月のツアー外競技の北海道オープンでプロ初優勝。3日間競技の大会で通算17アンダーで圧勝して、今大会の出場権を獲得した。

この調子だと、ツアー初の予選通過はほぼ確実だ。
2日目以降に目指したいのは、さらにその先。「ライバルにも、追いつきたいから」。
一歩先ゆく同期の背中を追いかけていく。

額賀辰徳 ぬかがたつのり
1984年3月28日生まれ。茨城県出身。小中はサッカー部。しかし当時はいまほど体格にも恵まれず、「サッカーにも飽き始めていた」。ゴルフに出会ったのはちょうどそのころ。近くの練習場に通いつめ、めきめきと腕をあげた。
茨城の鹿島学園高から、千葉の中央学院大へ。
関東アマ連覇、日本学生、朝日杯、アジア大会メダリスト、2004年日本オープンローアマなど、輝かしい成績を引っさげて2006年プロ転向。
しかしこれまで出場8試合でまだ予選通過がなく、今週は初の決勝進出がかかる。
身長183センチ、体重78キロ。

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