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フジサンケイクラシック 2006

矢野東「100点満点つけても良い」

最終18番には大会が用意した大きなライトがセッティングされ、明々とグリーンを照らした。
執念で辿り着いた18番パー4。ちょうど正面の東の空。ポッカリと、月が出ていた。高地の気温はグっと冷え込み、夜露が白くグリーンを濡らす。
バンカーから打った矢野の第2打が、その上にくっきりと線を描いた。
手前から転がって、右奥へ。
大会が用意した大きなライトが、ボールの行方を照らし出す。
ピンまで3メートル。
夕闇が迫る中、バーディチャンスにつけてみせた。

この日2日目の第2ラウンドは朝から大雨。
スタートが40分遅れ、さらに11時10分から1時間50分の競技中断。
14時過ぎにようやくティオフした午後スタート組は当初、ほとんど全組ホールアウトできないだろう、と予測されていた。

しかし矢野が後半の13番ホールに差し掛かったころに雲が割れ、太陽が富士桜に降り注いだ。
「これは・・・ホールアウトできるかもしれない」。
矢野は、同じ組のスティーブン・コンランと野仲茂に「なんとか終われるように頑張ろう」と呼びかけた。
もし競技を残せば、早朝からコースに来て第2ラウンドの残り競技を消化し、続く第3ラウンドへ。
タフな1日になることは必至だ。
しかし、この日のうちにホールアウトできれば、それもぜんぜん違ってくる。

同伴競技者の同意も取り付けて、「何が何でもホールアウトしよう」。
ショットの合間や、ホールのインターバルはほとんど小走りでプレーした。
最終ホールで、まだ前の組がセカンド地点でプレーしていたときはさすがに気が急いたが、日没サスペンデッドのサイレンが鳴ったのは、矢野の組がティショットした直後。

「・・・間に合った」。
思わず安堵の笑みがこぼれ出た。

通算3アンダーは、ホールアウトした選手の中で最上位。
この日はじっくりと休養を取り、気持ち新たに第3ラウンドに臨む。
「100点をつけても良いくらい」という好調のアイアンショットで、ツアー通算2勝目を狙う。



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