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〜全英への道〜 ミズノオープン 2006

市原建彦、自己ベストの2位と全英切符

「ビビリ性なんで・・・」と苦笑した。サスペンデッドとなった予選ラウンド。市原は2日目の第2ラウンドで、日没のため2ホールを残した。再開の翌朝、弟でキャディの大輔さんに真顔で言ったという。

「トリ(トリプルボギー)、トリで上がっても決勝には進めるよな?」。
暫定ながら、そのとき市原は通算8アンダーで首位に立っていた。
それでもなお、予選落ちの可能性を考えてしまう。悪いほうばかりを想像してしまう。
あるいはそう考えることで気持ちを軽くしようとしているのかもしれないが、市原がいかに慎重な性格であるかを物語るエピソードだ。

それほどのプレッシャーを乗り越えて、最終日に自己最高の2位につけた。
おまけに、全英オープンの出場権を手に入れた。
18番で最後のパットを決めて、大輔さんと顔を見合わせ思わずこぼれ出た笑み。
「もう大丈夫、と思ったらつい・・・」。
まだ日本ツアーのシード権さえない市原にとって、初のメジャー切符だ。

2年前から、コーチの井上透さんと取り組んできたスイング改造。
「これまで、やってきたことは間違いじゃなかった」との確信が、おのずと深まる。
水城高校時代に世界アマを制し、「大器」と噂された逸材がデビューから8年をかけて、ようやく目覚めつつある。

世界最高のメジャーは、「テレビの中の世界でしかない」。
そこで自分はどんなパフォーマンスができるのか。
とても想像がつかないが、「結果だけで言うなら目標は予選通過。それ以上に自分を失わず、自分を出しきってどこまでやれるか。やってみたい」。
いっとき、風の大地に思いをはせた。

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