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カシオワールドオープンゴルフトーナメント 2005

米山剛「いつか優勝で恩返しを」

ホールアウトするなり、氷嚢を持って、キャディの馬場ひろふみさんがアテスト場から出てくる米山を待ち構えている。
姿を見るなり、すぐにその左肩に氷嚢を乗せる。
「・・・う〜ん、だいぶ良くはなってきたんですけど・・・やっぱり、ね。まだ必要です」。

首にひどい痛みを覚えたのは、昨年の11月だった。
「そのうち、良くなるだろう」と希望を持ちながら病院を渡り歩いているうちに、あっという間に月日がたった。
結局、約1年間の戦線離脱を余儀なくされた。

公傷制度を利用して、ようやく復帰したのは10月のコカ・コーラ東海クラシック。
本戦前夜は、「こんなに長く試合を離れて、ゴルフになるのかな・・・」。
不安で、眠れなくなったほどだ。

しかし、それも取りこし苦労に終わった。
プロ18年の経験はさびついておらず、これまで5試合で予選落ちは1度だけ。
むしろ、苦難を乗り越えたこの1年間で「精神的にも我慢を覚えて、強くなれた」と感じている。

6戦目となる今大会は、3日目にして通算5アンダーの5位タイ浮上。首位と3打差は、99年に続く大会2勝目もねらえる位置だ。

長いクラブがまったく握れなかった半年間も、アプローチ、パットの練習は欠かさなかった。
「その甲斐があったかな」と言って浮かべた笑顔には、ひそかな自負も漂う。

復帰したばかりの身で「いますぐ優勝」というのは無謀かもしれないが、試合に出れない時期も辛抱強く支えてくれた所属先ヨネックスの米山宏作社長に恩返ししたい気持ちで一杯だ。

「いつかは、優勝で報いたいと思っています」。
自身4度目の美酒を、そう遠くない未来に味わえそうな予感だ。

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