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マンダムルシードよみうりオープンゴルフトーナメント 2005

プロ11年目の広田悟が、ツアー初優勝!!

それまで強張っていた広田の顔に、たちまち柔らかな笑みが広がった。1打差2位で迎えた9番パー5。打ち上げになったグリーン奥に、1年と5ヶ月になる長女・璃香(りか)ちゃんの笑顔を見つけたからだ。
その口元が、小さく「パパ」と動いたとき、張り詰めていた心がたちまち解れていった。
「僕にとって、子供は癒し。誰よりも、リラックスさせてくれる存在」。
愛娘の前で、奥から3メートルのバーディパットをねじ込んで、川岸、平塚、秋葉、高山らと首位に並んだ。

3打差の5位につけた前日3日目の夜。
妻・美保子さんに電話して、「明日は会場に来てよ」と、頼んだ。
普段は「ペースが狂うから」と、家族を遠征先に呼ぶことはめったにないが、今週はどこか予感めいたものがあった。

今年32歳。「そろそろ、ここらで優勝がほしい」と、強い決意で迎えた今シーズン。
仲間内で、「ミスター・よみうり」と呼ばれるほど好相性のここよみうりカントリークラブで、今年も3日間、好位置につけて「勝つならここしかない」という思いが強くあったからだ。

初優勝はぜひ、家族の前であげたいと思った。
しかし、美保子さんの返事は素っ気なかった。
「でも、明日は最終組じゃないんでしょう? 行かないわ」。
拍子抜けしていったん電話を切ったが、すぐまた折り返しかけてきて美保子さんが言った。

「応援に行ったら優勝してくれる?」
「え・・・?」
「してくれるなら行くよ」
「・・・じゃあ、優勝するよ」

強引に約束を交わした美保子さんは、最終日の早朝に山口県宇部市の自宅を出て、ちょうど夫のハーフターンに間に合った。
それからあとの9ホール。「これまで見てきた中で、いちばん素敵でした・・・」と、美保子さんは惚れ惚れと振り返った。

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