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JCBクラシック仙台 2005

水巻善典(93年、98年JCBクラシック仙台チャンピオン)「自分んちで、プレーしてるみたい。それくらい、リラックスしてできるのが表蔵王なんです」

2003年にシード落ちしたあと、しばらくツアーから遠ざかっていた。出場優先順位を決めるファイナルQTにもあえてエントリーしなかった。

「目標が、見つけられなくなった」。

ツアー7勝。89年の初シード入りから、ずっとシード権も保持してきた。93年には米ツアーに参戦し、メジャーにも出場した。
「20代、30代のころは、『優勝したい』とか、『メジャー』とか、夢がいっぱいあったけど。そういうのをまんべんなく経験して40歳を過ぎて、次は何を目指してゴルフをすればいいのか。どこからエネルギーを作ればいいのか、わからなくなってしまったんですよ・・・」。

昨年は、ほとんどの時間を米フロリダに住む家族と過ごした。
十分な充電期間をおいて今年、ツアーに復帰した。

しかし、「いまはもう以前のように、カリカリしながら戦うという感じではない」と水巻は言う。

「ゴルフだけじゃなく、いろんなことを楽しみたい、そう思うようになったんです」。
先週の大会では、プレーヤーでありながら、テレビのラウンドレポーターもつとめた。18ホールプレーしたあとに、解説しながらさらに5ホール歩くハードなスケジュールも、「それはそれで、また楽しい」と笑う。

練習場では、若手選手と積極的に会話する。スイングの相談にも、丁寧に答えている。
「たとえば、今の子たちはすぐにアメリカ、アメリカというけれど。アメリカがすべてじゃないよってそういうこととか・・・。自分が実際に経験して、感じたことを少しでもみんなに伝えていけたらいいなあ、って。そういう役割になれたらいいなあ、って思うんですよ」。

新しい生き方を、模索しはじめたベテランは、今大会2度の歴代チャンピオンでもある。

「表蔵王は大好きなコース。自分んちで、ゴルフをしているような、それくらいリラクッスしてプレーができる。そんなコースでまた、良いプレーができればいいね!」。
そういって、表蔵王の澄んだ空気を気持ちよさそうに吸い込んだ。

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