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日本ゴルフツアー選手権 宍戸ヒルズカップ 2004

後輩キャディを励まし、支えられながら広田悟が2位タイ浮上

ドローとフェード。どちらの打ち分けも出来るが、もともと超距離ヒッターでないだ けに、普段はほと んどドローボールで戦っている。少しでもランを出して、距離を稼ぎたいからだ。
実際に、フェードで打つよりも10ヤードは差が出るが、今週は、コースにあわせて持 ち球を封印だ。
深いラフに、狭いフェアウェー。グリーンは硬く、超高速。練習ラウンドで下見を済 ませた段階で、広 田はすぐに攻め方を変更した。ツアープレーヤー?1を決める今大会では、飛距離よ り、正確かつコン トロールの効いたショットが求められている、と気がついたからだ。
落としたいところに狙い打ちができる安全なフェードボールで戦って、この2日間は いわゆる「ラフか ら出すだけ」のショットは、まだ初日16番のパー3しか経験していない。作戦が、見 事にハマッている のだ。
発奮材料もある。
今週のバッグを担ぐのは、研修生時代の3つ下の後輩・都丸英貴さん。いま、プロの 道をあきらめるか 否かを決断しかねている後輩に、「プロとして、良いプレーを見せたい」という気持 ちが強い。
狭いフェアウェーの先に生い茂る深いラフをフェードボールで巧みに避けて、硬く速 いグリーンめがけ て着実に、球を乗せていく。
9番パー4は、左奥14メートルのバーディチャンスを沈めた。
続く10番では、左グリーン手前12メートルからサンドウェッジでチップイン。『これ ぞプロの技』を次 々と披露してみせる広田の横で、都丸さんが悲鳴をあげる。
「先輩! オレ、もしプロになれたとしても、こんなところでとてもプレーはできな いっす!」
「大丈夫! お前もこんなコースをたくさん経験して、慣れていけば俺みたいにやれ るんだ!」。
そう力強く応えるたびに、広田の心の奥にひそむ弱気の虫も、どこか飛んでいってし まうような気にな ってくる。
意図せずして後輩に支えられつつ迎える決勝ラウンドは、首位と1打差の2位タイグ ループ。
「明日3日目も上位に踏みとどまって、優勝争いの中で、自分のゴルフができるよう な選手になりたい 」。その先には一昨年以来のシード奪回のみならず、初優勝というチャンスもくっき りと、見えてくる 。

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