Tournament article

〜全英への道〜 ミズノオープン 2004

藤田寛之が持ち味を生かしたしぶといプレーで2位タイ

この日2日目。藤田がスタートした12時16分ごろは、雨も小降りで、気になるほどではなかった。気温も高く蒸し暑かったため、レインウェアを脱いでティオフ。「これが裏目に出た」。

ホールを進むにつれて、次第に強まっていく雨脚。横殴りの雨に、本当にレインウェアが必要な状況になったときには、もはや手遅れだった。

「いまさら着れないほどの状態になっていて、結局、最後まで着ないままプレーしました」と、いってインタビュールームに入ってきた藤田は全身ずぶ濡れ。ぺったりと体に張り付いたウェアで座れば、椅子を汚してしまう、といって、お尻にひいたタオルも、あまり役に立たないほどだった。

そんな過酷な条件の中、藤田が真骨頂を発揮した。

再三、グリーンを外しながらも、アプローチとパットでしのぐ「泥臭いゴルフ」を展開。4番パー4で、強風に流されグリーン右手前に外した第2打を、サンドウェッジでチップインバーディ。

12番で8メートル、17番では10メートルのパーパットをしのぎ、ボギーなしの69でまわって、通算8アンダー2位タイ。

プレー中は、ほかの同伴競技者と世間バナシをする余裕もないほど、1打1打に集中していた。ひどい雨に、全天候型の手袋は1ラウンドで5枚も取り替えた。使ったタオルは10枚以上。強い風にボールは持っていかれ、100ヤード圏内からでも、ピンを狙うのは容易ではない。が、藤田はもともと、小技の上手さに定評のある選手。雨をたっぷり含んで重くなったラフに苦しみながらも全神経を研ぎ澄ませ、グリーンまわりのアプローチ、パットでひとつもミスをしなかったことが、この日の好スコアにつながった。

プレー終了後、やっと口をきいた同じ組の佐藤信人がポツリといった。「イギリスでも、こんな天気ないよ」。今季欧州ツアー本格参戦で、現在、ロンドン郊外に居を構える住人の言葉には信憑性がある。それほどの難コンディションを上位で乗り越えたことに、自信も深まった。

今週は、全英オープン日本予選の最終戦。最上位者には、全英オープンの出場権が与えられるが、もし権利を手に入れたら、「やっぱり僕は、今日みたいなゴルフをやっていきたい」と藤田。「・・・グリーンを外してもパーを取り、チャンスが来たらしぶとく入れて、というような、ね」。初のメジャー切符に向け、この日のラウンドで、イメージトレーニングは万全だ。

関連記事