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フジサンケイクラシック 2003

『自分にできる最高のパフォーマンス』桑原克典がアルバトロスを達成

昨シーズンのイーグル王が、またもや快挙達成だ。
桑原が、16番パー5で残り202ヤードの第2打を5アイアンで直接カップイン。自身2度 目、ツアーでは通 算21回目(19人目)のアルバトロスはまず、グリーン手前の花道に落ちた球が、2バ ウンドでグリーン をかけのぼり、さらにグリーン上で小さく2バウンドしたのち、手前約4メートルを滑 らかに転がって、 そのままカップに吸い込まれた。
グリーンまわりにいたギャラリーには「入ったよ!」と拍手で迎えられたが、本人 は、実際にカップの 中を覗きこむまでは半信半疑だった。
「確かに、打った感触は良かったけれど、まさ か入っているとは 。ダブルイーグルなんて、そうめったにできるもんじゃないですからね」
ボールを拾い上げて、改めてガッツポーズ。「最高に嬉しいです!」
ホールアウト後には主催者よりご褒美の10万円を贈られて、桑原は二重の喜びにひ たった。
昨年は、ホールインワン1回を含む年間15個のイーグルを奪ってイーグル王に輝いて いる。さらに今年4 月のツアー外競技『岐阜オープン』では、前半のハーフで3つのイーグルを奪って優 勝している。 イーグル奪取率といい、今回のアルバトロスといい、なぜそれほどまでに“奇跡”を 起こせるのか。
「そうだねえ・・・なぜって言われると自分でもわからない」と首をひねりつつ、 「・・・ただイーグルにしろアルバトロスにしろ狙って取れるもんでもないんだけど、 狙わなくちゃ奪え ないもの。そういうゴルフのほうが見ているほうもおもしろいし、自分にできる最高 のパフォーマンス と思って、チャンスがくれば常に狙いに行っているのは確かかな」。
もっとも桑原が、そんな考え方をするようになったのは、ここ数年のことだ。
もともとバーディ量産で大量アンダーをマークするという展開は過去にも多かったの だが、ある日そん な自分のプレースタイルを、冷静に振り返ってみたのだ。
「プロゴルファーが、バーディを取ったくらいで喜んでいていいのかな?」 確実にスコアを積み上げながら頂点を目指していくことは言うまでもなく、ツアープ レーヤーの大事な 仕事ではあるのだが、これから先も、漫然とただそんなゴルフを繰り返していていい のか、という疑問 がもたげた。
「これからは、自分らしさをもっと出して戦いたい・・・」
加えて、仲間の谷口徹が攻撃ゴルフでここ数年一気に勝ち星を増やし、世界へと羽ば たいていることも 発奮材料になった。
「谷口さんから刺激を受けていることは、間違いない」という桑原は、派手なイーグ ル狙いのゴルフを 、自分のセールスポイントのひとつとして考えるようになったのだ。
このダブルイーグルを生かして通算3アンダー、15位タイ。「もちろん、まだまだ (優勝)圏内。この 勢いに乗って、ぜひ優勝を目指したい!」。残り2日間も攻撃ゴルフを貫いて、最終 日の18番ではこの 日16番で受けた以上の大きな歓声で、迎え入れられることを夢見ている。

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