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サン・クロレラ クラシック 2003

『せめてお父さんに勝てるようにならなくちゃな!』ホストプレーヤーの青木功、渾身のプレー

スタートの1番ティで、青木の顔がみるみる輝いた。満面笑顔でロープ際まで近寄っ て、「な 〜に、応援に来てくれたの〜?」。子供が大好きだ。この日3日目も雨の中、観戦に 来てくれ た地元ジュニアの姿を見つけるや、あれやこれやと話し掛ける。
「おい、今から一緒に俺とラウンド行こうか!」(青木)。
「そんな・・・僕ヘタだからダメだよ」(ジュニア)。
「いいじゃねえか、大丈夫だよ」(青木)。
「ダメです、ダメです。迷惑かけちゃうし・・・」(ジュニア)。
「・・・そうかあ、そうだよな。せめてお父さんに勝てるくらいにならなくちゃな」 (青木)。
「うんっ!そうなったらね」(ジュニア)。
ひとしきり、そんな会話を交わしたあと、ゴキゲンでスタートしていったのだった。

この日は、ボギーが先行。6番ではダブルボギーも叩き、重苦しいムードが続く。午 前中、激 しく降り続いた雨に気温がグっと下がり、痛めていた左肘が再びうずき始めていたの だ。
最終ホールで3メートルを入れて、ようやくこの日初めてのバーディを奪ってホール アウト。 「同じ組のやつらがどんどんバーディ取るもんだから、悔しくて“俺も最後、取るぞ !”って 有言実行!最後くらいは俺もね」と威勢良くまくしたてたあと、「・・・やっぱりな あ、このヒ ジは寒いとやばいね」とポツリ。
実は今週大会前、医者には出場を止められていた。しかしこのサン・クロレラクラ シックは、 ホスト試合だ。「休むわけにはいかない」と強行軍での予選突破だったのだ。
「やっぱり、無理はダメ。今日は練習せずにゆっくり休めるよ。明日はもう少し、暖 かくなる ことを祈ってね」。残り1日。痛みをこらえ、60歳が気力を振り絞る。 

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