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ジョージア東海クラシック 2003

よき仲間、よきライバルたちの手で川原希が勝利のダイブ!

緊張の面持ちで上がった18番グリーン。とたんに、川原の表情が柔らかな笑顔に変わった。
丘の上のアテスト小屋。そのそばに、見慣れた顔がズラリ、と並んでいた。
日々ゴルフの腕を磨き合い、つらいとき、苦しいときは心から慰めてくれるよき仲間、よきライバルたちが喜びの瞬間を見届けようと集まってくれたのだ。

そのうちのひとり、日体荏原高校の先輩・立山光広が、川原にゼスチャーを送ってき た。それはこう伝 えていた。(ノゾミ! シャツガ、マタ、デテイルゾ!)。

183センチとスラリとした身長の川原だが、どういうわけかプレーしているうちにい つも、ズボンからシャツのスソがだらしなく出てしまう。立山にはそれをしょっちゅ う注意されていたのだが、やはりこの晴れ舞台でも、だらりとはみ出していたのだ。

立山のしぐさでそれに気がつき、ファーストパットを打つ前に、慌ててシャツのすそをしまった川原。 これがクライマックスでの緊張緩和に、役立ったのは間違いない。

そして、優勝の瞬間は

「のぞみ〜おめでとうっ!!」

「かっこいいぞ!」

大観衆の声援の中、ひときわ大きな声で祝福の言葉を寄せてくれた仲間たち。
そんな彼らが、表彰式→記念撮影とひととおりチャンピオンの行事を済ませた川原め がけて、18番グリーンにドっとな だれ込んできた。

「のぞみ〜!!ブレザーを脱げ〜!!」。

立山のひと声でジョージアカラーのチャンピオンブレザーはやすやすと腕から抜き取られると、川原は、彼らの手で軽々と抱えあげられた。
運ばれた先は、18番グリーン横の池。

「せ〜の!!」

掛け声とともに、勝利のダイブだ!

その週、キャディとして支えてくれたサイモン・コリンズさんも、そのあと一緒に投 げ込まれて笑いを誘った。

その様子を、川原の父・勝征さんと母・紀子さん、妹の真紀子さん が見守っていた。
実感がすぐには湧かず初優勝の瞬間にも涙を見せなかった川原のかわりに、嬉し涙を こぼした3人は、「良い仲間に恵まれて、本当に幸せですね」としみじみ。

特に勝征さんは、昨年の今大会で谷口に敗れたときの悔しさも味わっているだけに、「今日も最後までひやひやさせられたけど、よく頑張った。よく成長したもんだね」息子の晴れ姿に じっと目を細めていた。

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