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〜全英への道〜 ミズノオープン 2003

7年ぶり3度目の全英オープン挑戦へ、自信となるトッド・ハミルトンの今季3勝目

最高のドライバーショットを打ち、左のセミラフから9アイアンで狙っていながら、 手前のバンカーに 打ち込んでボギーとした4番パー4。「あれで一瞬、かっと来た」とハミルトン。以 前の自分なら自制 心をなくし、そのままズルズルと後退していたところだった。
だが、すぐに落ち着きを取り戻して、そのあとの5番から3連続バーディ。
「・・・いったい、なんだろうね。“鶏が先か卵が先か”みたいな話になるけど、ゴ ル フの調子がいいから精神状態がいいのか、精神状態がいいからゴルフがいいのか・・・? どっちなん だ が自分でもよくわ からないんだけれど、両方のバランスが非常にうまくいっているのは確か。『自分を 信じて頑張れば 必ずできる』と思えることが、いまのような良い結果を生んでいると思うんだ」
この日最終日は、スタートから大混戦模様。
特に上がりの4ホールは、同組のブレンダン・ジョーンズと1打差の争いをしていたに もかかわらず「 まるで、誰かに肩を揺さぶられているような強い風」(ハミルトン)の影響で、バー ディパット再三 にわたって外し、突き放すチャンスを逃している。
それでも辛抱強く耐え、勝機を引き寄せたのだった。
「こんなに稼いだのは、プロになって初めてだよ!」と自身も目を丸くした、今年の 開幕から9戦3勝は、フジサンケイの川奈、ダイヤモンドカップの大洗、そしてこの瀬戸内海GCと、す べて海からの強 風が名物のコースだ。
「風の中のゴルフは好きじゃない」と口では言いながらも、強風下での経験は豊富。 現在、ホームコースにしているヴァッケロゴルフコースがある米テキサス州ダラスは、風の名所だ。 今年のオフは、 ここでブライアン・ワッツやブラント・ジョーブ、ジャスティン・レナードら、米ツ アーで活躍する 選手たちにまじってラウンドを繰り返し、技を磨いた。強い風の中での安定した ショットと冷静な判 断力が養われた。
「僕だって失敗すればアマチュアの人みたいにどっか球が飛んでっちゃうことだって あるよ」と照れ 笑いを浮かべつつ、「難しいコンディションの中で優勝できたってことには、いっそ う満足度も大き いけどね!」。
5月の日本プロから始まった全英オープン日本予選。常に出場権利のトップを走りつ づけた末に、その 最終戦を“優勝”で締めくくって、好調ぶりを見せつけたハミルトン。イギリスのリ ンクスコース をほうふつとさせる、ここ瀬戸内海ゴルフ倶楽部での勝利は、3週後に控える7年ぶり 3度目の全英オープンへの大きな自信となるはずだ。

写真=R&Aチャンピオンコミッティのデューガル・レイ氏から、大会副会長の水野明 人氏の手へ、さらにチャンピオンの手に託された伝統のクラレット・ジャグ。「絶好 調で乗り込む今回の全英オープンは、自分に期待しているんだ」と言って、優勝杯で ワインを飲み干すしぐさをしておどけたハミルトン。

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