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アジアパシフィックオープンゴルフ選手権競技キリンオープン 2000

単独2位のチィ・ラ・ハンはアジアンPGAダビドフツアーの賞金王。「悪コンディションの中のゴルフは慣れている。こんな日は、とにかくパーを目指すこと。そうすると道が開けてくるんだ」

ときおり激しく降りしきる雨に加え、冷たい突風が松林を駆けぬけていく。
特に、スタートホールの1番、10番ホール。吹き飛ばされそうになる傘を、両手で必死でつかみ、負けまいと踏ん張る選手たち。ショットは、強い風で押し戻されこの2 ホールでオーバーパーを叩く選手が続出。

「1番も10番ホールも普通ならパーオンできるホール。なのに、今日は届かせるのもやっとだった」(1アンダー、3位タイの東聡)
「1番ではティショット、ドライバーで打ったのに、まだ247ヤードも残っていた。なんか笑っちゃったよ」(1アンダー、3位の片山晋吾)
「スターとの10番ティグラウンドに立った時点で、今日は1か2オーバーで上がれればいい、と考えなおした」(1オーバー、10位タイの芹澤信雄)」

 この日の平均ストローク、76.397。112人の選手がオーバーパーを叩く中、ミャンマー出身のチィ・ラ・ハンが5バーディ(2ボギー)の2アンダーで単独2位につけた。
 ハンは、99年アジアンPGAダビドフツアーの賞金王。同ツアーで1年間戦って、「どんな悪いコンディションのときでも、くじけない修行を積めたと思う」と胸を張った。
 1番、10番ホールは、刻んで3打目勝負。1パット圏内に乗せて、確実にバーディを奪った。
逆に、強烈なフォローとなった5番パー4(415ヤード)では、思いきって攻めた。第 2打を、ピンまで7メートルに乗せ、これを沈めてバーディ。攻守のツボを押さえたプレーで、確実にスコアを縮めていく。
中でも特に、「パットがよかった」というように、長いチャンスをよく沈めた。6番パー3(192ヤード)で、16メートルを沈めてバーディ。最終9番パー5(この日インスタート)では、グリーン手前エッジから14メートルを沈めて、ホールアウト。
 「スタートから風が強く、スコアは伸びないとわかった。こんな日はとにかくパーであがることだけ考える。そうしたら、おのずと道は開けてくるんだ」。
 4年前、手首を痛め、まったくクラブが握れない、つらい日々が続いたこともあったが、「今は絶好調だよ。今年はダビドフツアーで賞金王を取ったおかげで、全英オープンを含む10試合のヨーロッパツアーにも出られるんだ。この大会でもぜひとも勝って、日本ツアーの出場権をもらいたい。明日の天気は良くなるかな。晴れだったら、プレー戦略をバーディ狙いに切り替えていくつもりさ」ハンはそう言って不敵な笑みを浮かべていた。

  • スタートの10番、ハンは靴紐を結びなおして気合を入れた

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