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久光製薬KBCオーガスタ 2000

ディフェンディングチャンピオン、米山剛

 実力がありながら長い間、勝てなかった米山剛。だが、昨年5月の三菱自動車で初Vを挙げるや8月の今大会でツアー2勝目。そして11月のカシオワールドでも勝って、一挙に3勝をマークして、それまでの“生みの苦しみ”をたった1年で晴らして見せたのだった。

 昨年、今大会を含め年間3勝して賞金ランク5位。初挑戦したメジャー・全英オープンでは15位タイに入り、来年の出場権まで持ち帰った。99年は米山にとって最高の年となった。

 だが、2000年の今季前半戦はその反動か、トップ10入りは3月の静岡オープンの7位だけと、パッとしない成績が続いていた。
 それについて米山は、サン・クロレラクラシックの会場で「かっこいいゴルフをしようとしずぎていた」と話した。

 「今年に入って、自分にない球筋を打ちたいという気持ちばかりが先に立って、形にこだわりすぎていたんです。昨年の成績が良かっただけに、今年はまわりの目もあるし、かっこいいゴルフをしなくちゃいけない、と思いすぎていたんですね。そんなにうまいわけでもないのに、ちょっと悪かったら“こんなはずじゃない”と、カリカリしたり…ちっとも自分らしくなかった」

 米山が、そんな自分を客観的に見られるきっかけとなったのは、今年2度目の挑戦となった全英オープンだった。
 会場はゴルフの聖地・セント・アンドリュース。タフなコース設定、歴史の重みが漂う会場で、世界のトッププレーヤーに混じって懸命にボールを追ううちに米山は「この場をどうやってしのいで行くか―」ただその一点に集中し、またその状況を、存分に楽しんでいる自分に気がついたのだ。
 「あの場では、自分のスタイルとかスコアのことなんてかまっている余裕なんてないんです。ただ、実力どおりのゴルフで全力でぶつかって、それで結果良かったらそれでいいし、悪かったら仕方ない…さらっと流していくしかないんです。あの場所で戦って、そういう、ゴルフの基本みたいなものを思い出せた気がしますね」

後半戦の米山のキーワードは“自分らしさ”。原点に返った米山が、今年の芥屋でも旋風を巻き起こせるか―。

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