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アコムインターナショナル 1999

これまでのツアー獲得賞金額は0円という園木浩史が、6バーディで3位タイ発進

 今大会の出場が決まったのは、開催前日の15時。腰痛のため欠場した中嶋常幸の代打だった。あまりの急な決定に、もちろん、練習ラウンドをする間もなく、試合に臨んだ。
 園木(=写真右)の今大会出場が決まったのは開催前日の15時。腰痛のため欠場した中嶋常幸の代打だった。急な決定にも対応できたのは、園木の住まいが同じ石岡市で、しかも、所属コースが会場から車で10分もかからないご近所の美野里ゴルフクラブだったこと。「喜び勇んで、出場の登録に来た」という。

 だが、もちろん、その日は練習ラウンドをする間もなかったため、ぶっつけ本番で試合に臨んだ。

 「所属コースから近いけれど、ここ(石岡ゴルフ倶楽部を)回ったのはもう3年前くらい。いきなり試合で、緊張しました」というが、6バーディ、ノーボギーの66でまわり3位タイと好スタートを切った。

 「とにかく今はショット、特にアイアンショットがいいんです。それで、緊張も和らいだ。それに、彼にものすごく助けてもらいましたから」と笑顔を向けた先には、キャディを務める上地三喜男さん(26歳=写真左)。現在、石岡ゴルフ倶楽部の研修生でコースのことは知り尽くしている。

 園木は、上地さんの読みどおりにパット打ち、次々とバーディパットを沈めていった。

「ここのグリーンは、小さな傾斜がけっこうあって、ラインを読み間違えるととんでもないことになるんです。でも、園木プロはボクの読みをまったく疑うことなく、ひたすら素直にパットしてくれましたね」(上地さん)。

 最終18番、435ヤードのパー4。ピンまで7メートルのバーディパットを、「まかせっきりもだめなので、はじめて上地君と一緒に読んでみた」(園木)ところ、「ボール一個分、スライス」と2人の意見が一致。

 これをど真ん中から沈めてバーディフィニッシュ。「最後は気持ち良かったよな〜」と声を合わせた。

 突然の出場にもかかわらず、会場には、近所の友人がたくさん応援にやってきた。 「でも、プレッシャーがかかっちゃいけない、と気を遣って、すごく小さな声で『ナイスバーディ』とか言ってくれるんです。なんか暖かさが伝わってきて嬉しかったですね」と園木。

 これまで、ツアー競技の予選通過を一度も果したことがなく、1995年プロ入り後に獲得した賞金は「0円。だから今回はいっぱい稼いで帰らなくちゃ」とその気だった。

★ 園木浩史プロフィール
1969年8月5日生まれの30歳。熊本県出身。現在は、地元石岡市在住。美野里ゴルフクラブ所属。家族は、明美夫人と彩音ちゃん(5歳)の3人がいる。ドライバー平均飛距離は270ヤード。身長168センチ、体重63キロ。