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JCBクラシック仙台 1999

桑原克典がコースレコードを更新

首位スタートの最終組がちょうどティオフしたころ。
 桑原克典は、順位ボードのトップに名を刻み、最終18番グリーンにやってきた。 前日の大会2日目は、カットラインギリギリの通算1アンダー。「1か、ヘタすると 2アンダーでも、予選落ちするかもしれない」という危惧を抱きながら、やっとこさの予選通過だった。
 それが、翌日には大変身。
 2番ミドルでピンまで5メートルの「下りのすごい難しいフックライン」のバーディパットを入れると、3番ではイーグル奪取。グリーンまで残り40ヤードの第3打をアプローチウェッジでカップインさせてから、13番のミドルホールまで、波に乗りまくった。
 「3番でイーグル獲って、『きょうはいけるんじゃないか』という気持ちが沸いた。でも次の4番ホールでは2メートル半のチャンスをはずし、せっかく勢いが乗れてたのに…とがっかりしたんですが…」
 すぐに盛り返した。
 5番ミドルはピン上4メートルをバーディ。 7番ロングは、9番アイアンでの第3打をミスして寄せきれずピン4メートル。「でもこれが入ってくれた」。
 9番ミドルでピン左3メートル。11番からはいずれもピンまで2メートル前後に寄せる3連続バーディだ。
 「でも、さすがにここからは、攻めきれなくなって、守りに入ってしまいましたね」と、残り5ホールは、手堅くパーでまとめてフィニッシュした。 この日だけで9アンダー、62。95年の今大会で橋本日都が記録した63以来、これまで誰もやぶれなかった、コースレコードを更新した。

★桑原克典のはなし
 「きのう、予選カットを意識しながらまわっているときは、ちょっとしたミスもものすごいミスに感じて、入らないような気がしてしまうんですけど、逆に、こんなに調子がいいと、ミスをミスとも思わなくなっちゃう。『大丈夫、次でなんとかなる』ってね。ボギーが出る感じがしないっていうか…なんでも入る気がする。
 2つ、3つ程度伸ばしているときは、あともうひとつ獲りたいとか、数字を意識するけど、こんなに伸びてしまったら、逆になんだかよくわんないものなんです。プレーに集中して、後で気付いて『あ、こんなにビッグスコア出しちゃった』という感じ。わけわかんない間に伸びちゃった、って感じですね。
 きのうはなんだかシビアになっちゃって、自分で自分を追い詰めていたのにね。 きょうは、ずっと下の(順位)ほうからスタートしたから、思いきって攻められたのかもしれない。イーグルにした3番も、初日は1番アイアンで打ったけどきょうはドライバー。逆にスコアがいいときだと、(守る気持ちから)アイアンを握ったかもしれない。
 これからみんな伸びますから。きょうが終わったら10位内にもいれないかもしれないけど、明日もきょうみたいに無心でいけたらいいと思うんですけどね…」 ※桑原が、公式インタビューを終えて記者会見場から出た頃、順位は入れ替わり、原田三夫が通算11アンダーで、単独トップにたっていた(原田の1番ホール終了時点)。桑原は、最終的に首位と5打差の5位タイで最終日を迎える。

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