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ISPS HANDA 夏の決戦・誰が一番強いんだトーナメント 2025

「先輩はやっぱりすごいな」金谷拓実の帰国を待ちわびていた人

PGAツアーで戦う昨季賞金王が、今季国内初参戦。金谷拓実(かなや・たくみ)の帰還を誰より楽しみにしていた若者がいる。
プロ4季目の発多(はった)ヤマトは、東北福祉大学の1年後輩。在学時から金谷をこよなく尊敬し、偉大なその背中を追い続けている。




もちろん、この好機を逃すはずもなく、火曜日に昨年10月以来という練習ラウンドを速攻予約。
金谷との9ホールマッチに挑み、8番まで1UPと順調に来たのに、悪天候に乗じて先輩から無情な宣告を受けた。

金谷が空に向かって右手を掲げて、「降雨ノーゲーム!」。
「えーー、まぢですかーーー」。
せっかくの勝利目前をなきものにされてがっくしだったが、「いいよ、奢って上げるよ」と、お昼ごはんの味噌ラーメンはごちそうにあずかりご満悦。

「嬉しかった」と、喜ぶ。

ラウンドしながら、PGAツアーでの金谷の奮闘もたっぷり聞いた。
「練習ラウンドでも勝負どころでチップインを決めたり、金谷さんはやっぱりすごい」と感嘆し、「今度は試合で回りたい」と、思いも新た。
「最終日に同じ組で勝負して勝ちたい」と、野望を燃やす。

金谷には、そんな発多の奮闘が、微笑ましくもあり、久しぶりの日本ツアーでよいカンフル剤でもあり…。

昨年の予選会Qスクールを突破して挑むPGAツアーは、5月の「CJカップ(5位T)」と、7月の「3Mオープン(7位T)」とで、トップ10が2回。
7月の「全英オープン」では、アマで出場した2019年の同オープン以来となる“2度目の予選突破”を果たせた。

「ずっとメジャーで予選落ちをしてきたので、その流れを止めることができてよかった」と、「3Mオープン」での7位タイへとつなげることができたが、現在ポイントランキングは134位。

来季シードの確定(100位)にはもう少し。
「フォールシリーズがまだ8試合あるので、そこに向けて弾みになるように」と、いったん日本に戻ってきた。

ファイナルQT4位の資格で、今季日本ツアーに参戦する後輩の発多の奮闘ぶりは、アメリカでも「目に見えるよう」という。
「頑張っている姿が想像できる」。
向こうで時間を持て余した際にもふと思い出し、たまに発多に電話をするが、留守番電話になったことがない。

「いま何か用事をしているかもな、悪いかな、と気を遣いながらかけるんですが、必ず出てくれるんですよ」と、転戦中の癒しに。

「予選落ちして土日が暇になると、腹は立ちますけど、めっちゃ楽しい」。
最高峰のツアーはどんなに苦しくとも、刺激でいっぱい。
「グリーンを狙うショットで差を感じたので、その部分でもっとPGAツアー選手並みに打てれば。1日1日成長していく気持ちを持つことが大事」と、今回の一時帰国後も、ほとんど休む間もなく、クラブを握り続けている。
「ゴルフが好きなので…。また来年もアメリカでプレーするためにも、今が頑張り時です」と、アメリカでも、日本でもどこでも相変わらずの全力プレー。

「やっぱり、先輩はすごい」(発多)。
久しぶりの帰国を後輩たちもじっと見つめている


金谷の大ファンを公言する発多「先輩と勝負して勝つのが夢です!」

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