Round48:00 霜の為、スタート時刻を20分遅延(8:30→8:50)
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カシオワールドオープンゴルフトーナメント 2025
「みんなのリーダー」谷口徹が涙、涙のシード落ち「33年間お疲れ様でした」後輩たちの出迎えに感泣
57歳の谷口徹(たにぐち・とおる)は「予選を通過するためにやっていない。今週も優勝がマスト」。
2018年の「日本プロ」以来となる7年ぶりのツアー通算21勝目だけをにらんで来た。
前日初日に5アンダーの8位と好スタートが切れた。だが、2日目はスタートの1番こそバーディを奪ったが、その後はスコアを崩していく一方になった。
後半の15番でこの日3つ目のボギーを叩いて、予選カットラインを踏み越えると突如、全身から力が抜けた。
「緊張の糸が切れてしまった。そこからははるかにきつかった。最後は、優勝争いとは比較にならないほどきつかった」と、いう。
今季、適用を受けた生涯獲得賞金25位内の資格は1年で消滅する。
賞金シードに復活できなければ来シーズンはいよいよすべての権利を失う。
来季、出場権をかけたファイナルQTには出ない。
「ファイナルまで行ってやるエネルギーがない。出たところでいい成績が上げられるわけがない」。
1997年から27シーズン守り続けたすべての出場資格がこれで消え失せる。
事実上、これで一線を退く形となる。
「思い出がたくさんありすぎて。20回勝ちましたけど、つらい思いのほうが多かったので」。
1992年のプロ転向から走り続けた月日が脳裏を巡った。
プレー途中から涙が出てきた。
「こらえるので必死でした」。
16番でダブルボギーを打ち、17番でまたボギーを叩き、最後18番でバーディパットを逃した時に、ついに涙腺が崩壊した。
とめどなく涙を流す谷口を、聞き覚えのある大声が包んだ。
「谷口さん、ありがとうーーーーーー」。
グリーン奥で大勢の後輩プロが待っていた。
年下の選手たちに「お疲れ様でした」と言って肩を抱かれ、数えきれない選手と握手を交わして、10番ティで胴上げ。

幾人かの選手は、トレードマークのガッツポーズ写真をプリントした上に、「みんなのリーダー谷口徹 33年間お疲れ様でした」と記したオリジナルTシャツを着て待ち構えており、谷口も着せかけられみんなで集合写真をパシャリ。

セレモニーを聞きつけた主催者さんからは、きゅうきょカシオの「G-SHOCK GM-B2100AD-2AJF」を贈られ、57歳は恐縮しきりだ。

「今までこんなシーン見たことない。みんなが待っててくれて嬉しかった。最後、21勝目は達成できなかったけど、優勝以上にいい思い出ができました」と、噛み締めた。
「若手にも長くやれるという道筋を見せたい」。
その一心で走り続けたつもりだった。
でも、最近では「若い選手が頑張っている姿を見て、自分もここまで頑張ってこられたのじゃないかな?」
今年最後のラウンドは、今年の「日本プロ」で初優勝を達成した清水大成(しみず・たいせい)と、「日本オープン」でマスターズの資格を得た片岡尚之(かたおか・なおゆき)と一緒。
「いま最高の選手と回れてよかった。楽しかった」と、感謝した。
「引退とは言わない。でも、自力で出られるのは今年で最後」。
ツアー通算20勝で、02、07年とで2度の賞金王に就いた。
谷口ほどの実力と知名度があれば、主催者推薦は得られるだろうが、出場資格がなかったデビュー時さえ「推薦で出たいと思ったことは一度もない」という事実が誇りでもある。
「それ(推薦)が悪いこととは言わない。支えていただくことは必要です。僕自身もスポンサーさんやメーカーさん、トレーナーさん、ファンやボランティアの方々にサポートしていただいて今がある。でも、この世界は実力主義なので。自分がシードを獲り続ければ、誰にも邪魔されずに出られる。自分の力で勝ち取りチャンスをつかんでいくことが、成長のステップになる。自分が頑張らないと何も変わらない。みんなにもそういう意識を持ってもらいたい」と、力説。
たとえレギュラーツアーには出られなくても、若い選手の手本であり続けたい、と谷口は思っている。















