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三井住友VISA太平洋マスターズ 2022

「僕たち選手が何もしないというのは…」堀川未来夢が今季2勝目のV会見で一番伝えたかったこと

先週の「マイナビABCチャンピオンシップ」で昨年2位を返上する今季2勝を飾った堀川未来夢(ほりかわ・みくむ)の優勝会見は、外でのヒーローインタビューやスピーチも合わせると、のべ1時間くらいはあった。



それでも長いと感じさせないのは、テンポのいい口調と、ぎゅっと要約された中身の濃い内容だ。
自分のゴルフのことも、自分が所属する男子ツアーのことも、もっとこうしたい、もっと良くしたいと溢れる思いでいつも一杯。


そのひとつの手段として始めたYouTubeはすでに登録者数25万人を突破し、ますます絶好調だ。

毎週、配信する大会のみどころ紹介は、主にテレビカメラが入る後半ホールをチョイス。


「ここのバンカーならマネジメント的にはOKですとか。戦略でやっているとお伝えしておくことで、テレビを見たときに楽しさが倍増する、との声をいただいている」と、手応えを得ているコーナーのひとつだ。


注目の若手選手の紹介にも熱心だ。
先週は、プロデビューしたばかりの蟬川泰果(せみかわ・たいが)もすでに収録済みで、魅力の一端を動画を通じてお伝えすることで、一人でも多くのファンを会場に引き込む狙いがある。

蟬川の飛距離と、怖い物知らずのマネジメントの凄みを広くアピールしながら、「自分もやるからには結果を出していかないと」と、自身のゴルフ磨きも忘れない。


「僕はドライバーでフェードが打てなくて、スプーンとアイアンではドローが打てない。自分は不器用と思っているので。ひたすら精度を上げる」と先週の優勝も、「一緒に回っている選手が嫌になるくらい。曲げる気がしない」と、磨きに磨いた3Wの低弾道ショットを勝因のひとつとした。



先週2差2位で下した河本力(かわもと・りき)も、国内ではいまだかつて見ない怪物級の飛ばし屋だが、「ドライバーは飛ぶ分曲がる要素も大きいクラブと思うので。持ってくれて助かるな、と思う部分がある」との表現が、独特で面白い。

ドライバーで攻めてくれればくれるほど、自身が練りに練った刻みの戦略がより際立つという考えだ。

「逆に彼らにマネジメントされたら僕はちょっと太刀打ちできない」との脅威もまた、明日への邁進につながる。


先週の11月4日には、初のレッスン書を発売。通算4勝目を何よりの宣伝とした。
今年から選手会副会長に就任し、マルチで多忙な日々を精力的にこなすのは、ひとつの強い信念があるから。


先週の練習日に、母校の日大への進学が決まった高校生とラウンドしたそうだ。

卒業後もコーチとして留任し、時間さえあれば三島の学生寮に顔を出し、合宿やトレーニングで現役生と一緒に汗を流すのも、「彼らの夢を摘んではいけない。学生たちにプロゴルファーを目指せ、と言えなくなるのは辛い」との切実な思いがあるから。


「自分も毎週試合があって、賞金が大きくなれば嬉しいですし、試合が少なくなれば、自分の生活もしんどくなる。自分で自分の首を締めることはしたくない。自分の職場が潤えば、やってても面白いですし、学生たちにもプロゴルファーってこんなに面白い職業なんだと思って欲しい」と、堀川は言う。


後輩たちのためにも今週も、あの手この手で大会のPRに奔走する。

11月10日から、静岡県の太平洋クラブ御殿場コースで始まる「三井住友VISA太平洋マスターズ」は今年50回を記念して、4日間とも観戦無料で行われる。

(※11月8日の練習日も含みます。但し9日水曜日のプロアマ戦は非公開です 交通アクセスはこちらから)。


「主催者さんが、僕たち男子ゴルフを良くしようと大きな計らいをしてくださったのだと思う。せっかく無料にしてくださったのに、僕たち選手が何もしないというのはありえない。大きな挑戦をしてくださったご厚意に、僕たちもどこまで答えられるか」。


きょう7日から、開幕までの月、火、水で「どこまで、面白さを発信できるか。どれだけのお客さんに入っていただけるか」と、PR作戦を開始するつもりという。


もちろん、10日からの本戦では2週連続での大会初制覇も視野にした。
「御殿場も、得意なコースです。今年もう1勝を目指します」。
今年の選手会副会長として、またひとりのプロフェッショナルとして。ミクムの挑戦はまだまだ続く。


先週のボランティアのみなさんにも心からの感謝を