Tournament article

「防戦一方」でも勝利。香妻陣一朗は2勝目で新境地

2020年の初優勝時は、うれし涙で水浴びした勝利の儀式。香妻陣一朗は、2年ぶりの2勝目で、待ち構える大勢の仲間にむかって笑顔で「寒いよ~、ヤだよ」などと、冗談めかして嫌がる余裕もあった。

 

2勝目のショットの出来は、4日間とも「20~30%くらい」。前半こそ、5番パー4でのカップインイーグルで一時しのぎの貯金はできたが「防戦一方。今日が一番苦しかった」と、吐き出した。

 

後半13番のボギーで、「ここままでは負ける。俺の日じゃないのかな…」と、弱音もこぼれた。「意識しだして緊張して、手も動かなくなった」と、重圧につぶされそうに。

 

だが、ついに16番で追いつかれ、桂川有人(かつらがわ・ゆうと)に2打のリードを許すと、「最後にショットがちょっと元に戻った。やるしかない、となったときに、いいプレーができるのかな」と、追い込まれて覚醒。

 

17、18番では「何が何でも勝ってやろうという気持ち」と、持ち前の負けん気で、土壇場の連続バーディ。プレーオフに持ち込んだ。

サドンデスの18番では、本戦より長いバーディトライをねじ込み、「ょしゃーーー!」と遠吠えしながら、「最後は不思議と構えたところに腹をくくって打つことができた。こういう中でも勝てるんだ、と。調子の悪いときのゴルフの仕方を考えさせられる優勝だった」と、2勝目はごく冷静に受け止められた。

 

ショットの不調を徹底的に小技でカバーし、「ミスしてもこんなもんだろうと。逆に開き直れたのがよかった。焦ることもなく、調子が悪いのを受け入れられた」と、プラス思考で勝ちきった。

 

2年前の初優勝時は、女子プロで2つ姉の琴乃さんとのきょうだい優勝が話題となり、会場にはいちはやく、琴乃さんからお祝いコメントも届いた。

 

「姉が僕より先に1勝したり、先にプロの世界を見てきてくれて、どういう動きをしたらいいとか教えてもらって参考になったし、姉がいたからプロ転向後もやりやすかった」と、常に追いかける立場だったが、勝利数で琴乃さんを逆転。

「琴乃さんの弟」と、呼ばれることもほぼなくなった。

 

「今年はこのまま3勝、4勝と目標の複数回優勝を重ねて賞金王を争いたい。初メジャーにも挑戦したい」。

若手が台頭する男子ゴルフをしょって立つひとりとして、陣一朗が飛躍の時を迎えている。

 



 

関連記事