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中日クラウンズ 2021

難攻不落の和合で思い出し笑い。金谷拓実が単独トップ

©JGTOimages
雨天の影響で、1日遅れでスタートした第1ラウンドは、賞金1位と2位の直接対決。また、14位の松山英樹に次ぐ、世界ランクの2番手と3番手の争いで、まずは軍配を上げたのは、金谷拓実だ。

1アンダーで折り返した後半からギアを入れた。
1番で1メートルのチャンスを入れると、2番パー5では4メートルを沈めて連続バーディ。

4番のパー3は、8Iのティショットがピンに絡んだ。
5番でまたすかさず2メートルを決めると、最後9番は1メートルのバーディ締め。

6アンダーで、初日の単独首位獲りに、賞金&世界ランキングで金谷を追う同組の星野陸也が降参だ。
「後半、ちょっとやられましたね…」と、前半インコースは、自身がリードしていただけに、結局初日は4差をつけられ23位に終わると余計に悔しい。

スタートの10番では、フェアウェイから奥に打ちこみ、6メートルのパーパットを残した金谷。
でも目の前で、平然とピンチをしのいでみせた。
「金谷くんはピンチになってもパットが上手いし、小技でリカバリーできるし、チャンスが来たら、きっちり決める。やっぱりさすがだな…」。
この日は21歳の石坂友宏も含めて、「初めて2人とも年下の選手と回る」と、先輩の威厳を示すつもりの星野だったが、金谷の堂々たるプレーに「ラウンド中、金谷くんについ敬語を使っていたかもしれない…」と、苦笑した。
「明日はちょっと、自分も頑張る」と、気合を入れなおしていた。

賞金2位で追ってくる先輩プロの鼻息を横目に、「どうすれば、自分のプレーができるか。いい数字で上がれるか。考えながらプレーしている」と、ひた走る金谷。
「残り2日も自分らしいプレーがしたい」と、54ホールの短期決戦を組み立てる。

本大会は、アマ時代の2016年(予選落ち)と2019年に出て、アマ最上位となる14位Tの成績を残した。
また、その2日目には石川遼が棄権をしてしまい、ジャンボ尾崎と緊張の2サムラウンドも経験。
「1番ホールでジャンボさんから『俺にオナー取られたら罰金な』と言われて。確か、あのとき1ホール譲りましたが、罰金は払いませんでした」と、2年ぶりの大会で、2年ぶりの思い出し笑い。

そのジャンボが、97年の3連覇を含む最多タイの5勝を誇る歴史と伝統の一戦で、「優勝目指してプレーしたい」。
来月には、全米プロの出場を控えて燃えている。
脅威の新人プロとして舞い戻った難攻不落の和合で、22歳はただ一点だけを見つめている。

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