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スタート直前にドライバーが破損。上井邦裕はまた負けた

靴下まで脱いだ甲斐もなく…©JGTOimages
プロ17年目の初優勝はまた逃げた。
もっともアグレッシブなゴルフをした選手に贈られる「長嶋茂雄賞」の100万円を手にしても、勝てなかった。

上井邦裕は逆転負けに「悔しいです」。

この日は朝からバタついた。
顔色を変えたのは、スタートの1番ティに上がってすぐ。
3年使ったエースのドライバーに破損を見つけた。

島中キャディが急いで代わりを取りに戻ってくれて、ぎりぎり間に合ったが、「たまたま余分に持っていた分で、サブではない。メーカーも、スペックも違うし、打つのも久しぶり。気持ちの整理をするのに時間がかかった」。

1番の第1打でさっそく手が離れた。右のラフに飛んだが、懸命にパーを拾った。

「チーピンみたいなショットしか出ない」と、苦戦しながらじっと堪えて序盤はなんとか競り合いを見せた。

でも、「比嘉が良いゴルフをしていたので自分もしたいけど、気持ちとゴルフが同じように進んでくれない」。
徐々に差が出始めた。
「不安を抱えながらだったので、今日も楽しくやりたかったが、楽しさ半減」と、ついに後半、首位を完全に明け渡して3差をつけられたが、最後まで攻め続けることを、やめなかった。

16番パー3では池ポチャボギーを打っても、17番パー4で「最後の望み」。
豪快に1打で乗せて、8メートルのイーグルトライは「おどかすつもりで打った」という。
入らなかったがバーディで、2打差に詰めた。
最後の18番パー5も、池越えの2打目でピンだけを狙った。

わずかに届かず、池の縁ギリギリに落ちたが、靴を脱ぎ、靴下も脱いで右足を水に浸けて打った3打目も、カップに入れるつもりだった。
「やれるだけのことはやったので、悔いはない」と、潔く言った。

思えば自分で思った以上に曲がったり、3日目の後半で感じたショットの違和感は、この予兆だった。
「今までもヘッドが割れたことはあったが、スタート前のタイミングというのはなかった」。
よりによっての思いはあるが、「当たり前のことが当たり前にできないのがこのご時世であるように、備えておかなかった自分が悪い。それより、スタートに間に合わせてくれたキャディさんや、応援してくれた人。支えてくれた人たちに感謝をして、次は優勝できるように」。
悔しさをかみ殺して懸命に前を向いた。

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