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パナソニックオープンゴルフチャンピオンシップ 2025

上井邦浩は、いつもタダでは転ばない

42歳になっても、超人ぶりは健在だ。
上井邦浩(かみい・くにひろ)が8アンダーの「63」で、首位と1差の2位タイで飛び出した。




「最初は良い感じで打てていた」と、1番からびたびたチャンスにつけ、4連続バーディのスタートダッシュ。

「今年は3、4か月、パターがひどくて。スコアにならないから、ゴルフをやっても苦痛でしかなかった」という不遇のシーズン序盤を経て、ようやく復調の兆しが見えかけたばかり。
6番でも伸ばし、5アンダーで快調にターンした直後に、アクシデントは起きた。

10番のティショットは、左のギャラリー導線のほうへ。2打目がプレーエリアと、歩行区域を分ける“ローピング”にかかったため、ローピングを引っ掛ける杭をいったん地面から抜いてショットし、再び元の位置に戻そうとした瞬間、杭を握りしめていた右手に電気が走った。

「下が硬くて地面に刺さらず、親指に当たってそこから手が痛くなって、力が入らなくなった」。
負傷を訴えながらも、当該ホールで8メートルを沈めてその後もバーディを奪い続けるなど、タダでは転ばなかった。

シード復活をかけた昨年のカシオワールドオープンを、賞金95位で迎えながら、最終日の7位で踏みとどまり、自身3度目の返り咲きを達成した。
過去にも骨折や、ひざの半月板損傷など、度重なるケガから、幾度も蘇りを果たしてきた不死身の男。

愛知県の名古屋商科大学に進学してからは、名古屋を本拠地とするが、出身はコースから車で20分ほどの大阪府・狭山市。
期間中は実家から通い、初日から家族や知人が見守る中、痛みをこらえて好プレーで応えた。

「別に…普通です。普通にやっていただけです」と、照れてわざとそっけなく言ったが、「応援はありがたいですし、力になる。いいのを見せられたら気持ちも乗ってきます」。
2日目にむけて、まずは手の治療を優先に、地元で引き続きの上昇をにらむ。


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