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日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ Shishido Hills 2021

宍戸のインで最少の「28」。竹谷佳孝は諦めない男

©JGTOimages
傷だらけの栄光が、再び輝きはじめた。
プロ15年目の竹谷佳孝(たけや・よしたか)の初日の「65」は何がスゴいって、インコースで大会最少ストロークの「28」を出して戻ったこと。

アウトで伸ばし、インで耐えしのぶという宍戸のセオリーの真逆を行った。
契機は第1打で、右手を滑らせボギーを叩いた9番(508yd、パー4)だった。
左に飛んだショットが木を直撃し、「リアルに、190ydしか飛ばなかった」と、このミスショットで「思い切って振れてない」と、気が付いた。

ショットへの不安と共に、「いま開催中のトーナメントの中でも3本の指に入る難しさ」というコースへの怖さが重なり心身が縮こまっていた。
「とにかくやるべきことやって、振りぬこう」と、決めた途端に後半最初の10番でチップイン。
そこから、5連続バーディが来た。

6Iを持った16番パー3ではティショットが上1メートルのチャンスについた。
距離があり、グリーン手前の池を超える最も難しい17番パー4では7Iで打った182ydの2打目が20センチ。
連続バーディも奪った。

1年半ぶりの有観客試合で「なつかしいファンの顔を見つけた」と、それも励みに。

「今日のスコアは良かったが、明日は普通の竹谷に戻ります」と冗談を言いながら、クラブを5本ほど抱えてすぐに練習場へ、という流れはコロナ前には見られなかったルーティンだ。

34歳の2014年に、本大会でツアー初優勝を5年シードで飾ったが、2016年から丸3年は、度重なる怪我との戦い。

地元山口県の宇部鴻城高校の野球部時代から引きずる深刻な腰痛と、ひざの故障に始まり、今も左首に筋膜注射を打ってプレー。

コロナ禍のステイホームで「ぶつけてしまった」というひじ痛には、痛み止めも欠かせない。
それでも「怪我は自分の一部です」と潔く受け止め、ベテランの片山や谷原にも相談を重ねながら、「ここ数年では一番、痛みなくやれている状態です」。

以前はいっさいできなかったプレー後の練習にも、体と時間を割けることは喜ばしい。
「やっぱり、試合で得た課題のおさらいをしないことには始まらない」と、ウキウキと練習場に向かった。

9年前のV時も、面白いようにカップに沈めた。
仲間も一目置くパットと共に、どれだけ打ちのめされても諦めない、不屈の闘志が最強の武器だ。

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