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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2020

底知れぬ新人。金谷拓実の激動の2020年

80点だそうです©JGTOimages
コロナ禍の異例の出場資格で、12人の初出場者が揃った今年の最終戦。その最上位で改めて、底知れぬ実力を示した。

金谷拓実が、通算5アンダーの5位で激動のルーキー年を戦い終えた。

屈指の最終ホールが、今年の活躍を象徴するようだった。約2メートルのパーパット。大きなフックラインを描いてカップの縁で、いちど止まった。
と、次の瞬間ポトリ、と落ちた。

思わず両手で万歳。
「最後は入り方が特殊だったので。いい経験でした」。

首位と2打差から、史上初のルーキー連勝を目指して出た最終日は序盤から「自分のベストを尽くして、アグレッシブに攻めていこうと思っていました」。
だが、5番、8番でボギーが先行。
でも、「最後まで、あきらめない気持ちがあったから、踏み止まることができた」。

さらに10番から連続ボギーで、いっそう快挙は遠のいた。
「優勝は難しくなった」。
それでも、「どの状況でも残り5ホールとかを全部バーディーを獲るとチャンスはある。そういう気持ちでがむしゃらに食らいついてプレーをすることを心掛けています」。

22歳の粘り腰が、後半3つのバーディを呼び込んだ。
アマで出た9月の「フジサンケイクラシック」から、10月2日のプロ転向を挟んで、「ダンロップフェニックス」でのプロ初優勝を含む、今年の出場5戦すべてでトップ10入りを果たした(フジサンケイクラシックでの獲得賞金はなし)。

「どのスポーツでもあることですけど、アマチュアで、いい成績を残している選手でも、プロでは躓いている選手を見てきた。プロでどの程度できるかは未知数でした」。

手探りの中で、元世界アマ王者の快進撃を示し続けた。
「とにかく自分のできるプレーを一生懸命やることを心掛けて、それが結果に繋がったのかなと思います」。

20−21シーズン統合の賞金ランクは1位と、2位に僅差の3位。
20年でいったん区切って見た今年1年は、「80点ぐらいですかね。自分では、分からないですけど。100点というのは、全部優勝したぐらいじゃないとダメだと思うので。この大会でも優勝したかったので、来年頑張ります」。

底知れぬ向上心を掲げて、13年の松山英樹に次ぐ、史上2例目のルーキー賞金王へ。
改めて気持ちをセット。
「これからも、レベルアップできるように、努力したいなと思います」。
来年は、延期されていた東京五輪もある。
21年には、男子ゴルフを象徴する顔になる。

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