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長嶋茂雄 INVITATIONALセガサミーカップゴルフトーナメント 2018

孔明は「俺も負けられん」

ショットが多少曲がっても、雨上がりのグリーンにせっかく根元を刺したショットがスピンでピンから離れても「このコースは好きだから。ベント芝も好き」。

好相性を自負する北海道で、5アンダーの好スタートを切れば、嫌でも思い出す。

あれは4年前のこの大会。
「北海道で俺と遼はけっこう、よくやってる」。
2014年は石川に、プレーオフ2ホールで敗れた。
石川のあの年以来の大会参戦に合わせて、また自身も好発進すれば「なんか・・・遼に苦手意識が出てきそう」と、苦笑した。
「今度は、絶対にプレーオフにはせん!」と、苦い記憶を振り払った。

2014年に賞金王に輝いてから、ぱたりと勝ち星は途絶えたまま。その間に、孔明の背中を見て育ってきた若い九州勢が、いま次々と頭角を現している。

“チーム孔明”を名乗る中でも、もっとも顕著な活躍は、文句なしの秋吉翔太だ。
「ナメてますよね!! 今年もう2勝もして。鼻がこんくらいになってる」と、冗談交じりの天狗のポーズで、「そろそろ折ってやらんといけません」。

息巻きながらも若手の台頭に目を細める。
「前は九州といえば、手嶋さんと(小田)龍一さんと、僕だけだったが今は翔太や時松や、開幕戦ではアトムが勝って、俺もやれるんじゃないか、と。みんなその気になっている」。

地元九州地区のトーナメントプロで構成される九州プロゴルフ研修会が、20年前に起ち上げた「九州サーキット」は地元ジュニアにも広く門戸を開けて経験の場を作ってきた。

「それが恩返しだと思っているので、自分も日程が合う限りはずっと出場してきた」。
若手の目の前で、お手本を示し続けてきた。
当時は可愛らしい高校生だった後輩たちが、次々と憎らしい存在に変わっていく様を見るのもやりがいであり、また今年40歳を迎えた自身への起爆剤でもある。
「そう簡単に、負けるわけにはいかない。意地を見せたい」。
4年ぶりの9勝目に込めた思いは相当なものがある。

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