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マイナビABCチャンピオンシップ 2018

川村昌弘は負けて悔いなし

最終日はサングラスに、いつもの黒ずくめで牙を剥いた。まさに先週の憂さを晴らすかのようだった。25歳の川村が、32歳の木下に襲いかかったのは終盤。

14番でボギーを打った木下に、2差と迫った。
そこから猛然と攻めこんだ。
15番のパー5で7メートルのイーグルトライをねじ込んだ。
その瞬間、タイで並んだ。すぐ木下が、同ホールでバーディを奪って1差つけられ、16番のパー3で木下にあわやのティショットを打たれて再び2差つけられても、まだ食い下がった。

17番で右8メートルのバーディトライを沈めた。
1差で迎えた18番ではフェアウェイから、2打目を刻んでもたつく木下を横目に、先に奥2メートルのイーグルチャンスにつけた。
川村が、逆にそんなふうに上がりホールで揺さぶられ続けたのは先週。ブリヂストンオープンで今平に、上がりで2差の逆転を食らったばかり。
「川村くんは先週も優勝争いして、勝負どころを知っていると思っていた」と木下も読んだ通りのリベンジを、川村は仕掛けていった。
ついにプレーオフに持ち込んだ。

まれにみる大激戦はしかし結局、最後は1ホール目の木下のイーグルで終止符が打たれたとき、勝った木下の右腕をぐいと掴んで観客に向かって万歳させた川村。
「(悔いは)ひとつもない」。
負けても心置きなくこのあとスペインに発つ。
欧州ツアーで夢の出場権を取るため来月のファイナルQスクールに挑戦。
おそらく、これが今季ラストゲームとなる前に、ツアー2勝目の大チャンスを取り損ねても、マー君は負けて悔いなし。
「自分も良いゴルフをしたし、相手も良いゴルフをした。木下さんとも話しましたが、本当に2人で盛り上げましたね、と。本当に良いゲームでした」と、川村。

2週続きの敗退も、負けて爽やか。
「ここで運を使わなかった分、次にどこかで良いことがあるんじゃないかな。ポジティブに捕らえたい」。
若きグッドルーザーの海外での健闘を祈る。

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