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日本オープンゴルフ選手権競技 2018

梅山知宏へ、アダムから贈る言葉

本年度のゴルファー日本一を決める今大会は、決勝ラウンドからみな、2人組の2サムで1番ティから出ていく。この日、ロープの中で、豪州のスーパースターを独り占めしたのがプロ6年目の梅山だ。そんな誰もがうらやむアダムとの同組ラウンドも、表情を曇らせて、クラブハウスに帰ってきた。

「なんも言うことはないです」とぽつり。
「自分に出来ることを、精一杯やろうと午前中は、突っ走ったですけど」。
ショックを受けたのは、単に76のオーバーパーを叩いた自身のスコアのことではなかった。
「すべてにおいて、違いすぎた」と、愕然としたのはアダムと自分との力の差、パワーの差、技術の差。
「全部ですね。スイングのスピードも、ヘッドの速さもすべてにおいて、質の違いをみせつけられた」。
初優勝はもちろん、初シード入りもまだ実現していない。
「日本ツアーでも、俺なんも足りてないのに、PGAツアーなんて、はるか遠いな・・・」。
東北福祉大では副将として、同期の親友を支えた。「いつか、松山英樹と一緒にPGAツアーでやりたい気持ちがありました」。しかし、アダムのゴルフを間近にして心がくじけてしまいそうだ。
「何番で打ってもキャリ−で球を止められるし、パットも、今日は、あんまり調子はよくなかったかもしれないですけど球のスピードとか、ライン取りとかとてもきれいで。集中して仕上げていけば、あとは紙一重くらい」。
レベルの高さを見せつけられて、「今日それを、直で見れたのは本当に、凄い良い経験をさせてもらったとは思うが逆に自分では、まだまだ通用しないんだ、と。相当の距離を感じた」。

そんな梅山のうめきを伝え聞いたアダムは、「そんなことはない。前半は、僕も彼に3打差つけられたよ」。
前半ハーフをアンダーパーで回って伸び悩むアダムを一時期、スコアで上回った梅山。
「ショットにも、そんなにレベルの違いがあったとは思わない」と、梅山のゴルフを表した。
「堅実なプレーヤーだとは思う。ただ真剣に、PGAでやりたいと思うなら、ショートゲームの精度。アプローチもパットも、相当高い質のパフォーマンスが必要になってくる」とのメッセージを加えた。

間近で見たアダムのゴルフと助言をこれからどう生かすか。
自身の力不足に「悔しい」と、しきりに繰り返した梅山だがあれほどのトップランカーと、同じ時間を共有し、しかも生の声が聞ける機会を持てる選手は、そう多くはないはずだ。
  • 頑張れ、梅ちゃん

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