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HEIWA・PGM CHAMPIONSHIP 2017

チャン・キムが今季3勝目、賞金ランクは1位に

屈指の飛ばし屋が初めて来た沖縄で、忘れがたい思い出を作った。チャンキムが、今季3勝目で9月以来の賞金1位に返り咲いた。
3打差の2位から出た最終日はボギーが先行するも、5番からバーディ、イーグル、バーディで一気に巻き返した。
そこからもつれにもつれた終盤にドラマが起きた。
16番のパー3で宋永漢(ソンヨンハン)のティショットが、風に流されまさかのOB。トリプルボギーに沈んだ。
一転、2打リードで迎えた18番では、手前のバンカーから大きくオーバーして奥からの長い“バーディトライ”に「3パットでも勝てる」とホっとして、本当にカラーから、“3パット”のボギー締めにはただ苦笑を浮かべるばかりでガッツポーズも出なかったのは、本当にものすごく、ヘトヘトだったから。

先週は中国・上海で行われたWGC・HSBCチャンピオンズから帰ってきたばかり。
旅の疲れを癒やす間もないまま挑んだのはJGTO会長の青木功が、全面改修に心血を注いだ新コースだ。
「今年勝った3勝の中でも、もっともタフでした。ひとつのミスが“ビッグナンバー”(大たたき)になると思ったので、そこは慎重にいきました」と、さすがの難コースで演じたV争いで「足がガクガク」。
表彰式後の記念撮影会では、ひざまずいたら立ち上がるのも困難に。
会見では懸命にあくびをかみ殺して「今週は、本当に疲れていたので予選通過が出来ればいいと。今日の自分の中のゴールも、3位内に入ること」。

言葉は殊勝だが、今週もめっぽう飛ばした。暴風雨の3日目は今年、初挑戦した全英オープンでも「あれだけの風は吹かなかった」と一応目を剥きながらも強風下の4番パー4では2番アイアンで、しれっと“ワンオンイーグル”を奪った。
今週も、4日間のドライビングディスタンスで平均328ヤードを記録して1位を獲った。東シナ海から吹きつける風も、2歳から17歳までハワイ育ちの苦ではなかった。

「気候も、強い風が吹くところも沖縄とよく似ている。すべての要素が難しい中でいいラウンドができた。こんなに難しいコースにしていただいてありがとうございます」。青木への律儀な謝意が、ちょっぴり小憎らしくも聞こえた。

シーズン序盤には「思いも寄らなかった」という今季3勝目で、賞金ランキングは前週の4位から、1位に再浮上。
でも高額賞金が続く残り4戦中3戦は、初出場の大会ばかりだと言い「僕が賞金王になれる確率は30%くらい」と、やっぱり謙虚。
「上位にいるのは本当に上手い選手ばかりだし、みなさんコースを熟知している。僕は不利ですよね?」と、しおらしく言ったがどうだか。

シード3年目の今季。昨年末には、500番台後半がやっとだった世界ランキングを先月末に、100番台に乗せてからというもの、月曜日の朝に、HPでチェックするのが日課になった。
「この優勝でまたどれだけ上がっているか。明日が楽しみ」。
世界での評価もうなぎ登りの27歳。
今回、初の“沖縄旅行”で一番、何にハマったって「あんな美味しいお肉を出すお店は、アメリカにもなかなかない!」。
毎夜、通い詰めたのはコース地元の恩納村(おんなそん)にある人気ステーキハウス。
いよいよ佳境の賞金レースを前に、思い出の沖縄で栄養チャージも完璧だ。
  • 「大きいなあ!!あなたのサイズに合うかしら・・・」世界のアオキに着せかけられたジャケットはまた格別です。

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