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中日クラウンズ 2017

谷口徹が復活ムード

来年にもシニア入りの年齢に達する49歳が、好発進した。和合の18番は、砲台グリーンに上がって絶好のバーディチャンスを確認するなり、ニヤリと笑った。
ピン筋に打ってきた残り160ヤードの2打目。「6番アイアンで、150ヤードくらい打つつもりで。軽めに振って、2メートルに乗せた」。

初日のバーディ締めに、淡々と歓声に応えた。
「みんなにシニア、シニア言われているけど、シニアが遠のくゴルフになってきている」。

ボギーなしの65は、5つのバーディもさることながら、7番で2メートルの下りフックをしのぎ、13番では1メートル弱。17番では2メートル弱を拾うなど、バンカーから再三のパーセーブも光った。
伝統の和合で、ベテランが本来の持ち味を取り戻した。

「今はやる気ないくらいの力で振ればラインが出る。ボールコントロールもうまく出来ている」。
マキロイならぬ、「タニロイ」目指して2年前から始めた40代も半ばの肉体改造は、「それはそれで軸がしっかりした」と失敗ではなかったが、本来のスイングバランスが崩れたのは否めない。

「パワーはついても、それを生かし切れなかった」と第2シードにはしがみついたが、賞金ランキング80位は、97年の初シード入りから数えて、最低のシーズンを味わった。

反省からこのオフは、負荷をかけたトレーニングはいっさいやめて、従来どおりに柔軟性を重視。
「今年は叩きにいかなくても、良いショットが打てている」とベテランが余裕の3位タイスタートに「やっぱり自分のものを、作り上げるのが一番」。50代前の少しの遠回りで確信した教訓だ。

先週は、45歳の久保谷健一が、パットを駆使して5年ぶりのV。
「飛んだからって、勝てるわけじゃない。ショットでバーディが獲れるわけじゃない。ゴルフってそういうもの」。
同じ40代の復活勝利を称えつつ、若い選手のことも気になる。

練習場で最も注視する2人の若手が小平智と今平周吾。「切れ味がいい。若い選手を見て勉強になることもたくさんある」。

特に小平には「上から目線で俺に“最近、良くなってきましたね”と。あいつを抑えないことには楽しくない」とメラメラでも「あいつなりの褒め言葉」と、嬉しそう。

そして1打差で仰ぎ見る今平は、「うちのエースが頑張っている」。今季から谷口、藤田の“チームヤマハ”に加入した新鋭は「FAで来て、いきなりエースの立場」と、こちらにも負けてられない。

「小平、今平に勝てるように頑張ります!」。
いまもっとも勢いのある20代の“平・平コンビ”が目下49歳のライバルだ。

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