月曜決着! 池田勇太が2日がかりのプレーオフを制してV15

やっと勝った。待ち焦がれた今季2勝目は、81ホールもかかった。宋永漢 (ソンヨンハン)と、9ホールに及ぶプレーオフは2日もかかった。日曜日の4ホールに続いて、月曜日は5ホール、6ホール、7ホール・・・。まだ入らない。
互いにバーディもボギーも来ない。膠着状態も「ここで短気になっちゃいけない」。夏から再三の2位は「どれも最後にボギーを打って負けている」。今度こそ、勝ちたい。「早くバーディを取りたい」。急く思い。今こそ耐え時。「お前はどこまで我慢出来るのかと。神様に、試されているんだと思った」。
癇癪をこらえた。
いよいよ9ホール目に突入した。
グリーン奥のテントでシビれを切らした青木功が腰を上げた。
プレーオフでは決着を持ち越す2ホールごとに、ピン位置を変えるのが通例だ。
日曜から数えて実に4度目のピン位置の切り替えは、JGTO新会長の大胆な発想が、やっとゲームを動かした。
舞台の18番ホールは、いよいよ手前のエッジきわきわのピンに、宋 (ソン)はグリーンの左にこぼした。
ピン右2メートルにくっつけた池田。
青木プロデュースの「下りのスライスライン」も読み切り今度こそ、チャンスを掴んで離さなかった。

99年のJGTO(日本ゴルフツアー機構)発足から、プレーオフが翌・月曜日に持ち越されたのは史上初。
会場の石岡ゴルフ倶楽部は、この日すでに一般営業のコースを、18番だけご厚意でお借りした。
朝7時から、すでに隣の1番・10番では第1組がスタートしていた。
両脇からときおり響く。ハウスキャディさんの「フォア〜」の声がこだまする。
そんな中で、7時30分からプレーオフは再開された。
18番グリーンの片隅で、やっと始まった表彰式もインスタートのお客さまに追いつかれる寸前だった。
もしも10ホール目となったらお客さまには18番だけスキップして、先にお食事をとっていただき、アウトコースを回っていただき、そして最後に18番を回っていただく。
そんな変則シュミレーションまで考慮していただいた。
結果、そこまでの事態には至らなくとも「長らくお待たせしてしまって申し訳ございません!」。
主催者、関係者をヒヤヒヤさせた。居たたまれずに、上がってすぐにそこら中で頭を下げた。

まさに、めったとない珍事。波乱のツアー通算15勝目はしかし、そばに馴染みの相棒はいなかった。
先週まで4試合を戦った各開催コースのハウスキャディさんたちにも学ぶところは多かったが「やっぱりプロキャディはそこが違う」と特に精神面で支えてくれた。
「打ったあとに一言、一言アドバイスをくれて、気持ちを切らさずにできた」と感謝の相手は、しかしいつもの顔ではなかった。

今回は初タッグで女性にいきなり81ホールも歩かせてしまった。
大会は3日目の競技中断から、連日の朝4時起きに「昨晩は気絶するように寝た」と言った池田以上に気疲れしてるはず。
「今日はおんぶして帰らなくちゃ」と労ったのは今週だけスポットでお願いしたその道16年の坂井恵さんだった。

ついこないだまでファンにもお馴染みだった名コンビはデビューから7年半。つねにかたわらで、これまでの全14勝を支え続けた。
「彼以外のキャディで勝ったのは、これが初めて」と、寂しくもある。
福田央(ひさし)さんが、“引退”を決意したのは8月のリオ五輪から帰ってしばらくあとという。
「俺が、次の新しい自分を探したくなったと言った」とコンビ解消は池田から申し出た。
「俺は、勇太以外は担がない。勇太が俺を必要としないなら、キャディをやめる」と、福田さんは言った。
「一緒にやって助けられ、自分はここまでになった。感謝しかない」とそれほどの恩人に、人生の大きな決断をさせてしまった。
「本当に申し訳ないことをしたと思うが、彼がいなかったら今の自分はない。本当に感謝しきり」と決別からの初勝利で心からの詫びと、尽きせぬ感謝を初めて語って「やっと新しいスタートラインに立てた気がする」。
避けて通れぬ別れも乗り越えやっと掴んだ今季2勝目でもある。

この夏の「万年2位」をようやく返上して賞金ランクは庚泰 (キョンテ)を抜いて2位に浮上。
「2位から脱却出来て、ようやくなにか吹っ切れた気がする」と、これからますます実りの秋。
1位の谷原秀人にも、獲得賞金差で800万円余に迫って「ここから大きな試合が続く」。
賞金ランクでも、2位脱却を目論む。

月曜日の昼前にようやく決着をつけて「来週は・・・」と、つい言いかけて、慌てて言い直した。
「いや、もう今週だね」。
今週は、大会2勝目がかかるゴルファー日本一決定戦。
今年は埼玉の狭山ゴルフ・クラブで開かれる「日本オープン」は、13日の開幕までもう3日もないが、「気持ちを切り替え木曜日には、そういう気持ちに仕向けないといけない。今週も絶対に優勝争いする、と」。
さあ、賞金レースもここからが本番だ。

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