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ダンロップ・スリクソン福島オープン 2016

岩本高志は「僕のゴルフで喜んで頂ければ」

首位と1打差の5位タイから出たこの日は、まだ2日目ながら「緊張していた」。ラウンド中に、カメラを担いで追いかけてくる報道陣のみなさんの姿を見かけるたびに「やべ〜」と内心、冷や汗をかきながらも「楽しんでプレーをしよう」と、キャディさんと何度も確認し合った。

2004年に、マンデートーナメントを突破して、本戦出場を果たしたフジサンケイクラシックは初日に首位から出て、スコアを叩いた。苦い記憶だ。

41歳の今になっても初シード入りすらまだでも、重ねてきた様々な経験が、岩本を落ち着かせた。
ボギーなしの66で回って、3位に踏みとどまった。
両肘のテーピングを苦笑いでさすりながら「僕は若いころから何度も怪我で、まったく稼げない年が何年もあり、僕らの年になれば厳しい。やっていけるのか、と。トーナメントなんか、出来ないんじゃないかと考えたこともあったので」。
プロ16年目の優勝争いは、なおさら感慨深い。

特に2012年には、肋骨の疲労性骨折と、腰のヘルニアが重なって、つらかった。
くじけそうになったとき、いまの所属先の「K's GOLF LOUNGE」で、ゴルフレッスンを始めたことが、支えになった。
アマチュアのみなさんを教えるようになって気がついた。
「みなさんには基本的なことを言うんですけれど、考えたら自分が出来てないじゃん、と。アマチュアの方と接するうちに、ゴルフに対する見方が変わった。怪我しても、ツアーへの思いがつなげられたと思う」。

ファイナルQTランクは30位で、出場権を取り戻して再びツアー転戦が始まった今年は「スクールのスタッフや生徒さんたちが理解を示して、僕の穴埋めをしてくれているのも助かっている」。

まして、こうしてツアーで活躍すれば、メールや電話で励ましてくれる。
「昨日もたくさん頂いた」と、律儀に一通一通に返事をして臨んだ2日目は、さらなる反響もまた、楽しみだ。
度重なる怪我にも耐えて戦う今、原動力になっているのは「ありきたりになりますが、お世話になっている方々に、良い成績を出して少しでも喜んでもらうこと」。
最終組で挑む3日目。「今まで経験したことのないところにいますが、なるようにしかならない。気の利いたことは言えませんが、頑張ります」。
週末は、お世話になった方々への感謝が伝わるプレーを心がけるつもりだ。

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