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マイナビABCチャンピオンシップ 2015

今年こそ、恩返しを実現させたい2人のホストプロ

矢野東も井上信(まこと)にとっても今年は特に、スポンサーの恩が身に染みている。とりわけ井上には「そろそろ、まずいんじゃないか・・・」と、危機感が募るのも無理はない。

井上が、スポンサー契約を結んだのは2012年。マイナビが、今大会の特別協賛についた2008年は、記念すべき初年度に、中川信行・同代表取締役社長とプロアマ戦で一緒にラウンドしたのがご縁で声をかけてくださったのだが、「実はその年は、僕がシード落ちをした年でもありまして」。

井上が、今大会で当時は史上3人目というマンデートーナメントからの初Vを飾ったのは2004年。好調な時に、契約のお話をいただくことは、よくあることだ。

「でも中川社長はどん底の時こそ“試合も出られないのでは、大変でしょう”と」。

懐の大きさに感じ入り、翌年の2013年にはみごと、賞金シード復活を果たしたのもつかの間、昨年は再び陥落の憂き目に加えて今年は持病の左手親指痛に首、左肘痛と、まさにケガのオンパレードで、ツアーはただでさえ、少ない出場チャンスも今年は5試合すべて予選落ち。しかも起死回生のQTは、今年はなんと10余年ぶりに来月のサードから挑戦するしかなく、まさに八方ふさがりの状況では、いよいよスポンサー契約も切られてしまうのではないか・・・。
「本当に、ご迷惑ばっかりかけどおしで」と、恐縮しきりの井上だ。

「恩も全然返せてない。いつ返せるかも分からないし」。今週も、久しぶりのツアーは名物の高速グリーンに手も足も出そうにない。「もう41歳だし本当に頑張らなくちゃ。今週はとりあえず、まずは予選通過」と、まずは四の五の言わずに、恩返しに専念するつもり。

そしてスポンサー契約を結んで4年目の矢野もまた、中川社長への感謝の気持ちを禁じ得ない。「本当に、あれほど男子ツアーに理解がある社長はいない」。前日火曜日には、社長直々に「まだあと3年は、大会をサポートしたい」というありがたいお話もあった。
「いや社長はたぶん、永久に大会を支えてくださると思う。それくらい真剣に、男子ゴルフを応援してくださっているので」と、矢野は確信している。

「もちろん、毎年この大会で自分が優勝したい気持ちがある」と、そんな期待に応えたい気持ちは一杯。その証拠に「優勝スピーチも、もう何年も前から考えてあるんです」。しかし、今だに披露する機会がないばかりか、このマイナビABCチャンピオンシップは、矢野がスポンサー契約を結ぶ直前までは、「10回出て7回トップ10入り」と、コースとの相性も抜群だったのに、ホストプロとして出場するようになった途端に、なぜかぱたりと活躍出来なくなってしまったのが心苦しい。

まして昨年には、井上ばかりか矢野もシード落ちを喫して、恩人にたいそう心配をかけてしまった。ファイナルQTからの復活を期した今季も今はまだ、現在賞金ランク62位と微妙な位置にいる。
ABC名物の高速グリーンも、「パットがいいから予選は通る」と、そこは自信があっても「ここ2ヶ月ほどはショットが芯に当たらない。どうしようかな」といずれも悩ましい2人のホストプは今年こそ、結果で報いたいと真剣だ。

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