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アジアパシフィック ダイヤモンドカップゴルフ 2015

被害に遭われた方々のために・・・。池田勇太が9位に

最後9番のバーディトライも、腰砕け。いざ、打つ気構えを見せた瞬間に、クラブハウス前のテントから聞こえてきた声。「池田選手のチャリティフォトサービスを申し込まれた方、ご集合くださ〜い」。
あまりのタイミングの良さに、思わず笑った。
ご協力くださった方々にも感謝した。

被害に遭われた方々にはもちろんプレーでも、最高のパフォーマンスを見せるつもりだ。選手会長が、上々の滑り出しをした。「あんまり得意な意識はないんだけどね」と、苦笑いした。

ここ大利根カントリークラブは、まずもって「ティショットがな〜んか、打ちづらい」。グリーン上でもな〜んか、自信を持って打てない。「ラインがよく読めないのよ」。序盤こそ、ボギーが先行してなおなら嫌なムードも、17番で「奥から10メートルの下りスライス」は、やっとこ最初のバーディで断ち切った。

「このコースで2アンダーは、そこそこなんじゃない?」と、まずは及第点。「このまま最終日まで、ジワジワと攻めていきたいと思います」。

上がってすぐに駆けつけた。大利根カントリークラブは坂東市のお隣の常総市で起きた大水害の義援金活動は、選手会としてチャリティフォトサービスやチャリティサイン会、チャリティバザーでの協力を申し出たが「それは、会場に来てくださった方々にはいいかもしれないが」。

イベントで集まったチャリティ金を、地元茨城県に贈るとはいえ、被害に遭われた方々は今はまだ、ゴルフなど観戦する気にもなれるはずがなく、それでもこの状況の中で、「大会を開催すると決まった以上は、また、僕ら選手がここでプレーする以上は、やれることをやっていかなきゃいけない」。

会場に来られない方のためにも、チャリティイベントの他にも被害に遭われた方々のお気持ちに、もっと寄り添える形の貢献はないか。「もっと心をこめて贈れるもの」。会場入りしてすぐ池田は出場選手に、獲得賞金の中から10%の義援金を呼びかけたが「もちろん強制ではない」。開催前に出場登録をする「レジストレーション」の際に、1人1人に丁寧に説明し、賛同してもらえるかどうか、確認して「あくまでも任意でお願いをした」。

日本ツアーと共同主管のアジアンツアーにも呼びかけて、出場選手のほぼ半数にあたる、55人の協力をもらうことが出来た。日本人選手はほぼ全員が、承諾書にサインをしてくれた。
「時間がない中で、なんとか形にすることが出来た」。あとは、選手たちに出来ることといったら「やっぱり男子らしく、力強い迫力あるプレーや技術を見せられたらいい」。
これからが、本当の腕のみせどころだ。

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