Tournament article

日本プロゴルフ選手権大会 日清カップヌードル杯 2014

新会長・倉本昌弘の挑戦・・・!

永久シード選手でありながら、この日水曜日のプロアマ戦は“アマチュア枠”で出場。近藤共弘とチームを組んで、レート77.4のコースでなんと17アンダーを記録。優勝を飾ってスポンサーを大いに喜ばせて「ひとつめのミッション終了!」。

そして慌ただしくスーツに着替えて次は、この日2つめのミッション。
今度は、大会主催の日本プロゴルフ協会(PGA)の代表として、開幕直前の共同記者会見でマイクを握った。

新生PGAの新会長として、初めて挑むプロ日本一決定戦だ。2月24日の“就任会見”では、はっきりとこう言った。
「ここの会長である限り、レギュラーツアーには出場しない」。
競技は、PGAが主管するシニアツアー1本に絞って、組織改革に身も心も埋める覚悟だ。今週はいわば、その最初のひとつの成果を示すとき。

PGA主催の「日本プロゴルフ選手権大会 日清カップヌードル杯」は、倉本昌弘が、就任後に初めて臨む一大イベントとなる。
「選手も、関係者も、見に来て下さるギャラリーの方も。関わるみなさんが“ああ、今年の日本プロは本当に良いゲームだったね”と言ってくださるような。そんな大会にしたい」。

並々ならぬ思いがもっとも顕著に表れているひとつがもちろん、コースセッティング。ツアー通算29勝の“選手目線”を存分に生かして、采配をふるった。

ここゴールデンバレーゴルフ俱楽部は日本最高コースレートといわれる、まさに“モンスターコース”だが、「ただただ難しかったね、で終わるものにはしたくない」。
やっても、見ても、エキサイティングなセッティング。たとえ優勝スコアがオーバーパーに終わっても、その理由が選手にも、ファンにも明確に分かるゲームが目標だ。

この日本最古のトーナメントは今年82回を迎えるが、その中でも「史上もっとも広いフェアウェイになっている」。
フェアウェイを外せば、ところによっては150ミリを超えるラフは、コースのご尽力の甲斐あって、一見ボールが浮いたライも、成長著しい新芽が容赦なく絡みつき、ミスの代償は少なくないが、その分、好打にはご褒美がしっかりとつく仕掛け。

起伏のあるポテトチップス状のグリーンは、ただでさえ一筋縄ではいかないが、硬さもスピードも、さらには各日のピン位置も、理不尽さは極力控えて、「選手が一番、力を出せる状態にと考えている」と、倉本は言う。

「難しいからといって、選手が初めから刻みに徹するような。そんなセッティングでは面白くない。難しさの中に、選手の闘争心を誘うような。昨日は60台が出たけれども、今日は70台後半もあるような。トータルしてイーブンパーから5アンダーの優勝スコア。やっても、見ても面白いスコア。そこを目指しているんです」(倉本)。

そんな倉本の熱い思いも、受け止めてくれるスポンサーあってこそだ。
この日のプロアマ戦でもチームを組んだ信和ゴルフホールディングス株式会社の國府宏匡・代表取締役社長と話し合いに、話し合いを重ねて今週の開催にこぎつけた。

國府社長はこの1年をかけて、国内外で10試合以上もの他トーナメントの視察を重ねて先週は、松山英樹が米ツアー初制覇を飾ったメモリアルトーナメントは昨年、大会ホストプロのジャック・ニクラウスとの面会も実現して、さまざまなアドバイスを受ける中で、もっとも心に響いたのは「何よりギャラリーを大切にするトーナメントでなければならない」。

ニクラウスの精神をしっかりと持ち帰った。観戦ルートの安全性の確保はもちろん、プロの高度な技をより間近に観覧できるように、ティーグラウンドの面積を広げたり、ギャラリーのためのコース改造にも相当に力を入れたという。

大会の特別協賛には今年も「日清食品ホールディングス株式会社」をお迎えし、創業者の安藤百福氏が掲げた「食とスポーツは健康を支える両輪である」との理念の体現も念頭に、大会は開幕の時を待つ。

同社の鈴木均・宣伝統括部長によると、数ある同社商品とスポーツの中でも百福氏がもっとも愛されたのが、「チキンラーメンと、ゴルフ」であったそうだ。創業家が最終日に18番の空で微笑むような・・・。そんな結末を夢見て、いよいよ大会は幕を開ける。倉本がいよいよ今週の最終ミッションに挑む。

※文中に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。

関連記事