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〜全英への道〜ミズノオープン 2014

今年の岩田寛は違うぞ! 大人のヒロシ

地元仙台の練習場やコースでよく、知らない人から声をかけられるが、たいていが「キレなきゃ、勝てるのにね」。
そのたびに、内心の動揺を隠せない。「なんで知ってるんだろう、僕がキレやすいってこと」。
これまで何度かふいにしてきたチャンスも、原因はそこにあると、テレビの画面を通じて分かるのか。本人も反省して、幾度も改善を試みて、それでもなかなかなか治らなかったのに、今年のヒロシは一味違う。

頭を使ってゴルフをするようになって、結果的にキレなくなった。
「前は、初日のハーフで諦めていることもあったのに」。今年はゲームを投げなくなった。

昨年、親しい人にも内緒で挑戦した米ツアーのQスクール。「ラフに入れてもどっち側のラフがいいとか、ラフに入ったらどこに外したらいいとか。生まれて初めてそういうことをやってみた」。
スコアを落としたくない一心で、ゴルフ人生初の試みだったというコースマネジメント。
「でも、実はみんなそういうことをしてんですね」と、それも新たな発見として、「今までは、一撃必殺。深く考えずに、どこからでもピンを狙った」。
無茶をして、でも当然、思い通りにはいかなくて、自分にムカついた。
「アプローチも寄せるより、入れる。失敗したら、腹立つけどそれのほうが面白かったから。どっからでもバーディが取れると思っていた。ジュニアのときから変わってなかった」。

そんなヒロシがついに大人になった。
「いまはピンに打ちたくても打たない。我慢してます。毎ホール常に考えて」。本能に任せていたときよりは、ずっと頭を使うし、ストレスもたまるが、「それのほうが、集中は出来るのかなと思います」。

確実にスコアも作れる。成績にもつながる。今季は初戦から5試合のうち、4戦でトップ10入りを果たして「お金も入ってくるから、楽しいですね」と、ウハウハだ。

攻め一辺倒のゴルフを卒業したら、プレーのメリハリも生まれた。ゲームマネジメントに徹する中でも、「ときどき、アグレッシブになる自分が好き」と、以前はふて腐れたような表情ばかりが目立ったラウンド中も、今では笑顔もよく出るように。
コースでは「早く勝って」と声をかけられることも多いが、「今はあまり勝とうとは思っていない。自分に出来ることをやって、それで勝てたらいいな、くらい」。大変身のヒロシが今週もV争いに挑む。

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