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マイナビABCチャンピオンシップ 2014

小田龍一が首位タイに

2009年に、あの石川遼とのプレーオフの末に、日本オープンを制して得た5年シードも今年で最終年を迎えて、目下ランクは67位につける賞金シードの確保や、5年ぶりのツアー通算2勝目など、ついちらつく欲望を、懸命に抑える毎日だ。

「お前はどうせコースに出ると、スイングが変わっちまうからな」とは、いつも“先生”にも言われていること。9つも年下だが、ゴルフの師として尊敬する池田勇太もいつも言うことだが「センターでいいと思っていても、お前はついピンに向かって打っちまう」。

この日は首位タイで上がって、待ち受ける報道陣の目を避けて、こそっとスコア提出場を出て行こうとして呼び止められた。
人前で話すことが大の苦手で、控えめな性格も、いざコースに出ると勝負師の本能が勝手に目覚める。攻めのゴルフが悪いというわけではないのだが、小田の場合はそれで自滅することも多かった。
「練習と、本番とでスイングが変わってしまう。ボールをつぶして打ってしまう」と反省しきりも、なかなか治らず今年、プロデビューを果たした弟の新(しん)も、幾度かまたバッグを担いでくれる中で、「全然、言われたとおりのショットが出来ていないよ」。
池田の教えを忠実に再現しようと、試行錯誤を続ける中で、いまそれがようやく実を結ぼうとしている。

この日は1打差で迎えた最後の18番で、残り200ヤードの2打目は、ここに来てまた「つい力が入った」と、5番アイアンでグリーンの奥のバンカーに打ち込んだが、そこから2メートル半に寄せてバーディ締めに、改めて肝に銘じた。
「明日も、欲を出さずにやろうと思う」。
首位タイで迎える最終日最終組は「明日も、自分がやろうと決めていることをやる。目の前の1打で自分のスイングをする」。

「・・・頑張れよって、龍に伝えて」。池田のゲキを胸に最後まで無欲を貫くつもりだ。

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