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小林正則も「寂しくて仕方ない」

最後の9番ホールは、手前から4メートルのバーディチャンスを是が非でも入れて、ディフェンディングチャンピオンも自分なりに“有終の美”を飾りたかった。しかし、ボールはわずかにカップを行きすぎて、186センチの長身をぐったりと折り曲げた。

悔やみながらクラブハウスに上がってきたら、そこでばったりと“恩人”に出くわした。大会主催のパナソニック株式会社の津賀一宏・代表取締役社長だ。

思わず、頭を下げながら駆け寄った。「スミマセン! ご期待に添えなくて・・・」。周囲にも、言われていたのが7月に、麻理子さんと籍を入れたばかりの“新婚連覇”。
「・・・いやいや、今日は小林さんも凄く頑張られたじゃないですか!」と、笑顔でねぎらわれれば、なおさら恐縮しきりだ。大会は、6回目の今年でいったん、幕を下ろすことがすでに決まっており小林としても、最後に連覇で華々しく大会を盛り上げたいのはやまやまだったのだが・・・。

自分が勝った思い出のトーナメントが終了してしまうことは、歴代覇者ならなおさら「寂しくて仕方ない」と小林は言う。でも、火曜日の24日に津賀社長と回ったプロアマ戦で、津賀社長は約束してくださった。
「今年でいったん終えますが2年後、3年後には、また男子ツアーに戻って来たいと思っています」と、力強く言われて小林も本当に嬉しかった。

2008年に幕を開けたこの「アジアパシフィック パナソニックオープン」は、アジアと日本の両ツアーからトッププレーヤーがほぼ半数ずつ出揃い、アジア太平洋地域のNO.1プレーヤーを決めてきた。今年は世界か20カ国の選手が集まり、国際色も豊かに行われてきた。

獲得賞金は両ツアーの賞金ランキングに加算され、勝てば両ツアーの複数年シードがもらえる。
「若い選手にとってはなおさら、世界への扉が拓ける本当に素晴らしいトーナメントなんです」と力を込める小林も、昨年の優勝をきっかけに、今年は欧州ツアーにも参戦した。

「俺は悔しさを味わうばっかりだけど」と苦笑いも、それでも「また、日本に戻って頑張ろうと思えるし、常に刺激をもらえる」と、37歳を迎えた今も「刺激がなくなったら、おしまい」と、たとえ打ちのめされても、この大会でいただいたチャンスを糧に、日本を飛び出すことをやめない。

またこの日の最終日に一緒に回ったタイのタニン・クワンチャイもしみじみと、言っていた。
「コバ、日本のコースは本当に素晴らしいよ。ぜひ僕も、ここで戦ってみたい」と、アジアの選手もこの大会をきっかけに、日本ツアーの魅力にとりつかれる選手が多かったのだ。

いわば、アジアと日本の“交流戦”は「お互いのツアーの良さを見られる良い機会だった」と、そう思うにつけても小林は、何度も繰り返してこう言いたい。
「本当に素晴らしい大会なんです」。津賀社長が今後、なおいっそう「もう一度、男子ツアーで」と思って下さるように。優勝スピーチでも、若い川村が言ったように、小林も言いたい。
「またぜひ、いつかもう一度、開催していただきたい」。
そして、ただお願いするだけではいけない。「僕らにも、その責任がある」と、小林。
恩人にまた開催したいと思っていただけるように。「頑張って、僕らが男子ツアーを盛り上げて行かなくちゃいけない」と大会の閉幕を機に、いっそうの努力を改めて肝に銘じた。

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