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つるやオープンゴルフトーナメント 2013

辻村暢大 (のぶひろ)は2位タイにも「予選通過を目指します」【インタビュー動画】

32歳の新顔が、好スタートを切った。この日は前半の2番で3メートルのパーパットを拾って「それからうまいこと、ノーボギーで行けた」と、65で回って2位タイにつけて、「信じられない、上出来です!」。

もっとも本人は、このまま上位に居続けられるとは、思っていない。
翌日24日の金曜日は、予選ラウンドの2日目だが念のため、ホテルを一度チェックアウトをして、「荷物を持って出てくる」という。

今季の目標も、「シード選手になれたら最高だけど」、そう言いながらも自信はゼロ。
むしろ昨年、ランク33位につけたファイナルQTに。「今年ももう1回、行くつもりでいますので」と、今からすでに決めているのも無理はない。

「自分の実力は、自分で分かっていますので」。
プロ9年目。
しかし、ツアーの生涯獲得賞金はいまだ0円。
週に1回のラウンドレッスンで、食いつなぐ。3年前に結婚した7つ下の彩夫人にも、週3回のアルバイトで協力してもらって「申し訳ない。稼いで、楽をさせてあげたい」。けど現実を、知れば知るほど大きなことも言えない夫。

夢もささやか。「・・・夫婦2人で幸せであれば、それでいいかな」。

ツアー初戦は2007年。
日本オープンは、深いラフのセッティングに左の手首を痛めて2日目に棄権。その後遺症で、手の形が変形してしまって1年あまりもゴルフができなかった。
回復しても、「元々フッカー」は、「フェードのほうが、かっこいいかな」。気まぐれにスイングを変えたことで、「分けわからんくなった」と、スランプに。

回り道を続けた9年間。再び持ち球に戻して、やっと上昇ムードが出てきた。今年、やっと本格参戦を果たして、これが生涯3試合目のトーナメントだ。

地元・三重県津市にある練習場は、「夏はアイス、冬は肉まんが食べ放題」。それを目当てに15歳でクラブを握った。久居高校の、2級下には金メダリストの吉田沙保里さん。プロゴルファーなら、上井邦浩。
吉田さんとは、「家も近所で。彼女にタックルされたら、どんな男もかなわない」と笑い、上井には「あいつの活躍が悔しい? いやいや。俺とはレベルが違う。昔からあの子は上手くて凄いなと、思う存在。早く優勝して欲しい」と、後輩の応援に回る人の良さだ。

先週も、優勝争いした上井。「みんなでいつ祝勝会をやろうか」と、仲間と話し合ったほど。
「それよりも、いつかご自分の祝勝会を」と、報道陣に水を向けられ即答した。
「いや、そりゃないです。今年もQT行きます」と、繰り返した。
「明日は、予選通過を目指して頑張ります」と、どこまでも控えめだった。

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