Tournament article

関西オープンゴルフ選手権競技 2013

矢野東は5年ぶりのツアー4勝目にむけて「まだまだ捨てたもんじゃない」【インタビュー動画】

まさに、パットイズマネーを地でいく。大会は、2日目を前にコロリと生まれ変わった。初日は、35パットを記録した選手が、2日目は25と、グリーン上だけで一気に10打もスコアを縮めて、この日3日目はさらに24パット。
第1ラウンドでは一時5オーバーを打ちながら、やにわに息を吹き返してきて、ここにいる。
初日は、110位タイと大きく出遅れていた矢野が、首位と2打差の単独3位で、優勝争いに加わった。

今年は、春に椎間板ヘルニアを発症して「僕ももう歳ですね」と、苦笑した36歳。元祖イケメンプロは、しかしふいにかつての輝きを取り戻して「まだまだ、僕も捨てたもんじゃない」。

きっかけは、初日のラウンド終了後だった。その日は、6番で今年4度目の4パットを打って、「これじゃ、ただのへたくそじゃん!」。もともと「パットは得意」とグリーン上には本人にも覚えがあっただけに、「まるで、自分じゃないみたい」と、なおさらプライドはへし折れた。

今季はそんな調子で、わずか1メートルから3パットを打つのもザラで、「ゴルフにならない」。それでも「切れたら終わり」と、懸命に自制してきた。パットの不振で、国内ではセガサミーカップの32位が最高でも、「悪いながらも、予選を通って一生懸命にやってきたんです」。

しかし、2008年には10試合連続トップ10入りの記録を持つ男が、いつまでも現状に甘んじているわけにはいかない。不調の原因は、なんとなく気がついていたのだ。ここ数年はタイガー・ウッズのパッティングフォームに憧れて、「ハンドダウンのハンドファースト」を続けてきたが、「やっぱり僕には合わなかった」。
「僕は、ハンドレイトに構えて、ロフトのあるクラブを釣って打つのがやっぱりいい」と2日目から、従来のスタイルに合わせてパターも半インチ長いものに持ち替えたら、この日は6つのバーディパットもさることながら、13番では7メートルをしのぎ、難関の14番では左から3メートルのパーパットも危なげなく拾って、ガッツポーズも飛び出した。

今季から、試合を選んでスポットで担ぐことになったとはいえ、やはり依然として“エースキャディ”の小岸秀行さん。「矢野さんの、全盛期の感じに戻ってきました」。片山晋呉と最後まで、賞金レースを争った2008年。本人も「自信が戻ってきて。あのころの雰囲気がある」と、全身から強者のオーラを漂わせて「盛り上げたい」。いよいよ最終日も真夏のゲームを引っぱる。

関連記事