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日本ゴルフツアー選手権 Shishido Hills 2013

小田孔明は「4×4で16アンダー」

この日、首位につけた韓国の趙珉珪 (チョミンギュ)と同じ組。小田のボギーなしの68も、特にここ宍戸では、けっして悲観するスコアではないはずだが「ミンギュが7アンダーも出していたので。僕としては、寂しかった」と、笑った。

けれどゴルフは終わってなんぼ。「今週は4×4」。つまりこの日のペースで通算スコアは「16アンダーくらいは行きたい」と、意気込む。
そんな小田の活躍を、ココロから願うファンが、届けてくれたエピソードをひとつ。

先月は、千葉県の総武カントリークラブで行われた日本プロ。決勝ラウンドの土曜日に、14番ホールでこんな光景に出くわしたという。

まだ3歳にもならないくらいの可愛い男の子。いきなり大声で、「ボール、ボール!」と叫び始めた。しかも、小田がティショットを打つ瞬間。もはやスイングを止められず、とりあえず振り切った小田はしかし、右に大きく曲げてバンカーに打ち込んだ。

居合わせたギャラリーは、固唾を吞んで事の顛末を見守った。プロ日本一を決める大舞台である。誰もが欲しいタイトルに、小田の意気込みも相当なものだったと思う。それが想像できたからこそ「気の毒に・・・」という空気がそこかしこに流れた。

気まずい雰囲気が漂う中で、やにわに声を上げた子どものほうへ、とことこと歩き出した小田。申し訳なさと恥ずかしさで、直立不動のご両親。深々と頭を下げて「申し訳ありません」と謝るよりも早く「はい、ボールだよ!!」。
小田は満面笑みで差し出したという。

緊迫した空気が一瞬で溶けた。ギャラリーが口々に言った。「かっこいい!!」。この一件を投稿してくださった方の娘さんは「パパ、素敵!! 私も小田選手のようなプロゴルファーになりたい」と、言ったそうである。

ギャラリーの方からは、こんな声も聞かれたそうだ。「ティショットが乱れたことを、他人の責任にしてはいけないことを、身をもって教えてくれたんだね」。そしてその場に居合わせたみなさんが、一瞬で小田のファンになったのは、言うまでもない。
「今週も、小田選手の活躍が楽しみです」。そんなココロからの声援に後押しされて小田も、ツアープレーヤー日本一を目指していく。

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