12番のバーディで、優勝争いさえ見えてきた。「でもそんなのは全然、関係なくて。自分がやれるところまでやるのが俺の目標だった」。いっそう気合いを入れて臨んだ13番で、「入れに行ったあとの３パット。返しを外す・・・そういうツメの甘さが、そこからの連続ボギーにつながってしまったと思う」。

14番もボギーにしたが、しかし、逆に若大将には自信がわいた。
「そういうところさえきちっとやれば、そのうち必ず優勝出来る」と確信出来る、この日の２アンダーだった。

初日は118位。２日目は、どうにか持ちこたえてカットラインぎりぎりの予選通過から、最終日に６位タイまで盛り返してこられたのは、何よりホストプロ３年目の自覚と責任感だ。

日清食品とスポンサー契約を結んで３度目のこのプロ日本一決定戦。
「誰よりも気合いが入っていたと思うし、勝ちたいと思ってきた」。

お世話になっている方々に、恩返しがしたい。
その思いは、コース外でも行動となって現れた。

この１週間はトークショー２回。中継局の日本テレビの放送ブースに座ること２回。火曜日には、地元球場で行われた「巨人ーＤｅＮＡ戦」の始球式に参加して、大会ＰＲにも一役買った。

プレー後は毎日、黒山の人だかりの前で一心にペンを走らせた。小さな子供には、普段はめったに見せない笑顔を振りまき、頭を撫でた。
ロープの外から名指しで声援を受ければ、たとえボールがディボット跡に入る不運でカッカしていても、背中越しに軽く手を上げ、ギャラリーを喜ばせた。

ファンサービスにも大忙しの１週間。本業でも最後はトップ10に食い込んで、「最後はそれなりに盛り上げられたのかなと思う」と納得の第80回記念大会。「小さいことがかみ合ってくれば、そのうち必ず勝てる」と、繰り返したホストプロ。
「あとは、『来週以降の俺の活躍を見ててくれ』という感じですかね」。
ニヤリと笑った。

• 池田 勇太