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とおとうみ浜松オープン 2011

シード復活にかける津曲泰弦(つまがりたいげん)が4位タイに

スタートするなり3番、4番で連続ボギー。嫌な予感が胸をよぎった。「またか、と」。今季は開幕から先週まで4戦が終わったが、まだ予選通過を果たしていない。
「また落ちるのか・・・」と、うなだれかけた。

しかし、今年新規の「とおとうみ浜松オープン」が行われている静岡県は浜松市にあるグランディ浜名湖ゴルフクラブはゆったりと広いレイアウト。OB杭もなく、距離もさほどではない。「多少のミスも、カバーが効く」。2008年のドライビング王にも輝いた津曲のような飛ばし屋には、有利なコースである。

練習日から止むことのない風も、「もうだんだん慣れてきた」。
プラス材料ばかりの舞台でみすみす諦めてしまいたくはない。

「僕は挑戦者なのだから」と、気合を入れ直した。
今季は、ファイナルQTランク8位の資格で参戦している津曲にとって、失うものはなにもない。
「落ち込まないで行こう」と気持ちを奮い立たせた。
8番で、最大の武器がうなった。ティショットはドライバーで、真っ直ぐに芯を食ったボールは、グリーンのエッジにしがみついた。津曲にはワンオン狙いのパー4で楽々バーディを奪って、流れを取り戻した。

次の9番でカラーから10メートルをパターで沈めてイーグルを奪った。さらに13番パー5は、残り225ヤードを3番アイアンで、ピンそば50センチ。
1日2イーグルは、最後の18番パー5も「意識した」。
6メートルに2オン成功。惜しくも1日3つは逃したが、これまた楽々バーディで10アンダーまでスコアを伸ばして「やっと開幕ですね」と、笑顔がこぼれた。

プロ2年目のこれまた2008年に、さっそく初シード入りを果たすも、昨年は賞金ランクは93位でシード落ち。「クラブが、ドライバーが、降りてこないんです」。
シーズン途中に何度もそう訴えたものだ。
スイング中に手が動かなくなったり、逆に過剰に反応したりする。いわゆる「イップス」という症状が、津曲の場合は特にドライバーショットで顕著に表れた。

「普段のラウンドでは、全然大丈夫なんです」。
このオフもひたすらラウンドを重ねたが、一度も症状は出なかった。
「でも試合になると、自分を追い込んじゃって。完璧を追い求める気持ちも影響したかもしれない」。イップスの一番の原因は、精神的な部分が大きい。

今年もさっそく開幕から不安が波のように押し寄せた。
「また動かなくなるんじゃないか・・・」。
食欲はあるのに、体重がどんどん減っていく。
昨年末の96キロが、いまは91キロまでに。
「試合に来るたびに、痩せていく。考えすぎて・・・。食べてるけど、それ以上に悩みましたから」。
これでひとまず予選通過の壁を越え、今年初めての週末こそ高い潜在能力を生かして思う存分暴れたい。

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